2017年4月21日金曜日

「経済は機械のように動く」レイ・ダリオ

経済の予測は複雑で難しそうに思えるが、世界最大のヘッジファンドを率いるダリオ氏によると経済は規則正しく動くという。ダリオ氏が重視しているのは借金で、お金を借りて消費することの積み重ねが経済を拡大させるという。だが借金を際限なくすることはできず、どこかで借金は限界に達して債務圧縮の局面にはいる。その時に経済は反転して縮小していくという。過去数十年間のバブルはすべてこの原理で説明できるらしい。

今、経済を拡大させている借金(のようなもの)は主に中央銀行によるものになる。日米欧の中央銀行が国債などの資産を大量に購入して、市場にお金をたくさんばらまき、経済を拡大させている。低金利に誘導しているので民間の借金も膨らんでいる。

アベノミクスは戦後3番目(9月まで続いたら2番目)に長い経済拡大期に入ったというが、これもひとえに日銀の”借金”のたまもののように思う。上記の理屈でいくと、日銀の資産購入はもう少しできそうなので、経済ももう少し拡大していくように思う。

日銀の”借金”が限界に達したら経済はどうなるか。過去の例のように反転するのかといえば、そうはならないと思う。なぜなら中央銀行の”借金”は、調達費用がゼロなので必ずしも返済する必要がないからだ。”借金”を返済しなければ日銀の信用が傷ついてしまい、それゆえ通貨の信用にも傷がついて円安やインフレが起こってしまうが、日銀はむしろそうなることを望んでいるように見える。

アメリカの中央銀行であるFRBは今年の後半にも資産圧縮に動くといっているが、それをするのはおそらく経済の好況期に限られると思う。そもそもFRBが資産を購入しだしたのは景気を刺激するためだから。

ただ中国は少し危ないかもしれない。中国の民間債務はGDP比2倍を超えており日本のバブル期並みの水準に達しているという。そして足下でも経済成長率をはるかに上回る速度で債務が増え続けているという。人口はすでにピークアウトしており、経済成長率は下落傾向なのでいつ借金が臨界点に達しても不思議ではない。中国を震源地とした不況が起こる可能性がある。まあそれでも中国は金融緩和のカードをまだたくさんもっているのでソフトランディングできる可能性も残っているが。

借金という観点からみると、今回の経済拡大(バブル)は中央銀行の“返済不要の借金”が原動力になっているのでバブルは崩壊しにくいのではないかと思う。ダリオ氏も足下の状況には特に警戒している様子もなく「トランプ米政権の誕生で金融市場が大きな転換点にさしかかったとみている。トランプ前が低成長、低インフレ、低金利だったのに対し、トランプ後は高成長、高インフレ、高金利に劇的に変化するはずだ」とコメントしている。


借金が臨界点に近づくと金利が上昇していくので、金利を重点的にチェックしていこうと思う。

参考:ヴェリタス(2017/3/26)

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