過去ログから今後の市場の方向性を考えていく。
■市場にプラスに作用するもの
・現在、世界規模でITを起点とした産業革命が起こっている。今後もこの流れは当面続く。
・その産業革命の起点となっているのはアメリカになる。アメリカ発のデジタルプラットフォームやデジタル技術を世界中の国々が利用するので、今後長期的にドル高になっていく。
・世界の人口は今後も約3%ずつ増えていき、その分、所得や消費が増え、世界経済は拡大していく。
・世界経済は拡大していくが、経済成長率は年々落ちていき低金利は常態化していく。投資先と言えば一般に、債券、株式、商品(コモディティ)の3つになるが、低金利の環境では利回りの高い株式が相対的に有利になる。
・経済政策の基本はインフレ政策であり、今後も世界中でインフレ政策が行われていく。インフレとは物価の上昇のことだが、これは同時に貨幣価値の下落も意味し、貨幣によって企業価値が評価される株式市場はインフレによって底上げされていく。米国株は過去40年で株価が20倍になっているが、その原動力は企業価値の向上ではなく、インフレになる。
<NYダウの超長期チャート>
アメリカは1973年に固定相場制から変動相場制に移行し、紙幣を無制限に発行できるようになった。以来、アメリカは不況を脱するために紙幣を刷り続け、貨幣価値は下落し続けている。
参照:The Dow’s tumultuous 120-year history, in one chart
・日本は公的債務がGDP比250%に達している。この公的債務を返済するには財政再建をするかインフレを起こすしかないが、日本は少子高齢化社会なので、歳入を増やし、歳出を減らすことは現実的には難しく、財政再建をするのはほぼ不可能になる。
公的債務を返済する残された方法はインフレになる。過去の日本を振り返っても、莫大な債務はインフレを起こして返済している。江戸時代末期には小判に含まれる金の量を極端に減らして通過を大量発行して債務を返済しているし、第二次世界大戦後はハイパーインフレを起こして債務を返済している。
日銀が現在やっている金融政策は将来ハイパーインフレを引き起こすと批判されることもあるが、日銀はむしろ、いずれおとずれるであろうハイパーインフレを少しでも和らげるために現在の政策をしているように見える。
日銀は物価が2%を安定的に超えるまで資金供給量の拡大を続けると約束しており、今後もしばらくインフレ政策が続く可能性は高い。
■市場にマイナスに作用するもの
・金融緩和による金余りが続いているので、今がバブルであるのは間違いない。たとえバブルでも経済成長率が債務の増加率を上回っていれば、バブルは消化されていくが、ほとんどの国では債務の増加率のほうが上回っているので、遠くない将来にバブルがはじける可能性は高い。
アメリカの民間の負債額はリーマンショック前を超えており、中国の官民合計の負債額はGDP比で300%を超えている。債務圧縮局面がいつきてもおかしくない。
アメリカと中国の世界経済に占めるGDP比率は約40%に達しており、両国の債務圧縮が世界経済に与える影響は大きい。
・設備投資額の増減率は、経済成長の先行指標になるが、アメリカではその設備投資額がここ数年マイナスになっている。投資循環的にはいつ景気後退期に入ってもおかしくはない。
・日本の経常収支は2025~2030年あたりに赤字に転落するといわれている。経常収支が赤字に転落すると、日本は海外からモノを買うために海外から資金を調達しなければならず、金利を上げる必要がでてくる。金利が1%上がるだけで、利払い費が10兆円以上増えるので、ハイパーインフレ、もしくは財政破綻する可能性がでてくる。
■まとめ
長期的には、産業革命や世界人口増、低金利やインフレ(政策)により、株式市場は上がり続ける。
中期的には、投資循環や債務循環により、市場はどこかで2~3年調整する。しかしこの調整期間中には次のバブルを作るための新たな金融緩和が行われる。
2030年頃に日本でハイパーインフレ、もしくは財政破綻が起こる可能性がある。
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