2023年10月1日日曜日

ビジョナリーホールディングス

 ■調べようと思ったきっかけ
エムスリーを調べていた影響か、グーグルニュースのおすすめ欄に「「エムスリーの陰謀で排除された!」メガネスーパー親会社前社長が衝撃告発」という記事が出てきた。気になったので読んでみると、メガネスーパー(親会社ビジョナリーホールディングス)の悪徳社長が退社したことや、エムスリーがビジョナリーホールディングス(以下BH社)に出資した理由がわかった。BH社の騒動後に株価は大きく下がっており、経営を立て直せれば株価は大きく反発すると思った。

■事件の経緯
事件を要約すると、元社長が私的な子会社をたくさん作ってそこに業務を委託していたり、経費を不正流用していたりというもの。事件は匿名の通報により発覚している。

■どんな会社か
メガネ小売りチェーン「メガネスーパー」を運営する会社。メガネスーパーは関東や中部地方を中心に約300店舗展開。高い検査技術に強みがあり、ミドル・シニア層をターゲットにした高付加価値戦略で経営している。同業他社と比べ、コンタクトレンズの販売比率が高く、コンタクトレンズの定期配送サービスに力を入れている。卸売り事業やEC事業も手がける。

■業績
2018年4月期 売上217億円 営業利益7.1億円
2019年4月期 売上264億円 営業利益9.3億円
2020年4月期 売上273億円 営業利益-2.1億円
2021年4月期 売上260億円 営業利益3.5億円
2022年4月期 売上260億円 営業利益-1.2億円
2023年4月期 売上270億円 営業利益2.9億円

コロナ前までは増収増益基調だったが、コロナ以降は失速している。
売上高・利益の約9割が小売り事業の「メガネースーパー」によるもの。

自己資本比率18%。配当はなし。

■成長ストーリー
「経営正常化で株価5倍」が基本シナリオ

前期の売上高270億円、営業利益2.9億円に対し、現在の時価総額は41億円になる。前期の営業利益率は1%程度になるが、これを10%程度まで高めることができたら、時価総額は5倍くらいまで跳ね上がりそう。

営業利益率を10%に高めることは可能か。

利益創出の1つ目の方法は、元社長らの不正資金流用分を正常化すること。これで6~8億円の増益が見込める。

2つ目の方法は、エムスリーとの相乗効果を出すこと。エムスリーがBH社に出資した目的は、エムスリーが持つコンテンツや医師ネットワークをBH社と連携させることと、治験モニターを集めること。エムスリーがBH社に出資してから3年くらいたち、まだ相乗効果は顕在化していないが、それはコロナ直前に提携したことが影響してそう。現在はコロナがほぼ収束しており、今後エムスリーとの相乗効果が出てくれば、利益を10億円くらい上積みできそう。

これらの方法と現在の利益を足せば、営業利益率は8%くらいになる。あとは経営力のある人が社長につけば営業利益率10%は達成できそう。

エムスリーがBH社を買収する可能性も少しある。もともとエムスリーはBH社を買収するつもりだったようだが、元社長に拒否されて買収できなかったらしい。今はその社長がいなくなったので買収する可能性もあるが、買収すると今回の騒動を裏で画策していたのはエムスリーであることがバレバレになるので、買収はしなさそう。するとしても経営が軌道に乗って、ほとぼりが冷めてからになりそう。

■問題点
・会社を立て直せるか不明
今回の騒動で取締役が一掃されたので、経営が混乱してそう。現社長はBH社の社外取締役だった松本大輔氏。松本氏はコンサルタントのキャリアを積んできた人で、事業戦略を考えるのはお手の物だろうが、従業員1500人、300店舗ある会社をうまく運営できるのかわからない。松本氏はエムスリー社長がマッキンゼーにいたときの元部下なので、エムスリー社長の支援を受けられそうではあるが、それでもうまくいくかどうかはわからない。

・新たな問題が発覚する恐れがある
元社長や元幹部らは調査に非協力的なため、今回の悪事はまだすべてが解明されたわけではない。今後新たな問題が出てくる可能性がある。


■利益成長を続けやすいビジネスモデルか ★★☆
・参入障壁。★★★。エムスリーのプラットフォームとの連携や先端検査機器は参入障壁になりそうだが、メガネ店自体の参入障壁は低い。

・ストック型収益か。★★。事業の大半はフロー型収益。コンタクトレンズの定期配送はストック型だが、収益に占める割合は低い。

・潜在市場は大きいか。★★☆。高齢化や若年層の近眼化でメガネ市場は穏やかな拡大傾向にある。

■チャート
<1年チャート> 底を打ったように見える。今後は上り調子になるかもしれない。


■まとめ
上記シナリオがうまくいけば株価5倍は狙えそうだが、現時点では不透明要素が多い。経営を正常化できそうな雰囲気が漂ってきたらまた考えてみようと思う。

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