2020年10月2日金曜日

売買チェック

*ブログの次回更新は1月。

■9月
9月の売買はなし。

■8月
・ランサーズ 新規買い
コロナを機にクラウドソーシングへの移行が加速すると思ったから。

・ランサーズ 全売却 損益+36%
コロナを機に大手派遣会社がクラウドソーシング市場に続々と参入してきていることがわかったから。8/19日経

■7月
7月の売買はなし。

持ち株チェック

保有比率の高い順に見ていく。

■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
クラウドサインは快走中だが、弁護士プラットフォーム事業の方は雲行きがあやしくなってきた。アクセス数の回復に相当手こずっているようで、昨年11月からアクセス数は減少の一途をたどっている。

以前、グーグルで「法律相談 ネット」と検索すると弁護士ドットコムが運営する「みんなの法律相談」がトップに表示されていたが、今では5番手に表示される。また「弁護士 大阪」と検索すると類似サイトのココナラよりも下に表示されてしまう。

弁護士ドットコムのサイト自体には優位性がありそうなので、なにか技術的な問題が発生しているのかもしれない。ただ、このままアクセス数の低下が止まらない場合は弁護士マーケティング事業に影響してくるので、今後アクセス数の回復を図るため「みんなの法律相談」を無料にする可能性もある。

おそらく今後立て直していけるとは思うが、この点が少し心配。
*現在「法律相談 ネット」で検索すると「みんなの法律相談」が2番手に表示される。SEO(検索エンジン最適化)対策が効き始めたのかもしれない。

会長が財務大臣政務官になり、兼職禁止の規定により退任してしまった。この会社の要所要所には精鋭が配置されており、事業の方は軌道に乗っているので業績の方は問題なさそうだが、株主として一抹の寂しさがある。とはいえ、これは「栄転」であり、この会社のおかげで資産が倍増したので、今後の会長の活動は陰ながら応援しようと思う。

・・しかしどうして会長は法務大臣やデジタル改革大臣の政務官ではなかったのだろうか。会長がデジタル庁の政務官になれば面白い展開になりそうなのだが・・。日本の大臣は専門外の人間が就くことが多いのでよくわからない。(日本では仕事だけでなく政治も「メンバーシップ型」なのかもしれない。この点については「ランサーズ」を参照)

今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。現在妥当だと思う時価総額は1500億円(株価7000円、PSR30倍)くらい。2030年の予想売上高は、売上高成長率が年率25%の場合は400億円、年率35%の場合は860億円。2030年の予想時価総額は4000~8000億円。

■ジモティー
基本シナリオ:最強の地元取引プラットフォームに
第2四半期決算は、アクセス数が増えて業績が下振れする、という予想通りの内容だった。株価は上下どちらに振れてもおかしくない状況だったが、長期目線の投資家の方が多かったようで、決算後に大きく上昇した。株価はこの調子で4800円くらいまではいきそう。

「ジモティー」の主要カテゴリーの件数を記録していく。
・売ります・あげます 7月中頃  893080件 → 10月 945116件
・メンバー募集 67116 →69364
・助け合い 25300 →26203
・不動産 466478 →511537
・アルバイト 43710 →44585
・正社員 13703 →14002

今後3年の予想売上高成長率は年率20%程度。現在の妥当だと思える時価総額は280億円(株価4800円、PSR20倍)くらい。2030年の予想利益は現在の10倍くらい。

■ペプチドリーム
基本シナリオ:最強のペプチド創薬プラットフォームに
コロナの影響で今期の臨床入りは2件くらいにとどまりそう。コロナが落ち着くまでは冴えない展開が続くのかもしれない。ただ、機関投資家注目の多発性骨髄腫の薬剤開発は順調に進んでいるもよう。

中村超硬を調べていたら、中村超硬がペプチスター(ペプチド製造工場)事業から撤退していたことがわかった。今回の撤退は超過債務の解消が主目的だが、他の新規事業(ナノゼオライト事業)の方は撤退してないので、ペプチド製造事業の見通しはあまり良くなかったのかもしれない。

今後3年の売上高成長率は年率20%程度。現在の妥当だと思える時価総額は5000億円(株価4000円、PER100倍)くらい。2030年の予想利益は、売上高成長率が年率20%なら300億円、年率30%なら700億円。2030年の予想時価総額は2兆~5兆円。

■ステムリム
基本シナリオ:再生誘導医薬が再生医療の主役に
再生誘導医薬と似た作用機序(仕組み)を持つミューズ細胞の存在が気になり始めた。当初、ミューズ細胞(薬剤)は他人の細胞を体外で培養するものなので、コストや安全性、効能の面で劣ると思っていた。しかし、第二相臨床試験の結果は良好のようなので、脅威になりうると思い始めた。9/4日経

ミューズ細胞について調べてみると潜在市場は2700億円以上あり(2019/11/26日経)、脳梗塞の第二相治験では梗塞を起こしてから4週間までなら効果があるようなので、もしここで再生誘導医薬が優位性を示せれば、テンバガーを狙えるのではないかと思った。
*現在ステムリムが行っている脳梗塞治験では「発症後4時間から24時間の患者」がターゲットになっている。おそらくこのターゲットではティムスのSMTP化合物には勝てない。

米セルジーンで臨床開発部長だった永松和朗氏が7月にステムリムの開発部長に就いた。この会社にも国際色が出てきた。
*米セルジーンは2019年に米ブリストル・マイヤーズスクイブに7兆円で買収されたバイオテクノロジー企業。

国(AMED)が実施するコロナ治療薬の開発にステムリムの薬剤が採択された。適応症は重症化したコロナ肺炎になるが、これは再生誘導医薬のコンセプトに合っているので、トントン拍子で開発が進むかも知れない。

ステムリムがまたストックオプションを発行した。この半年間で3回も発行している(10月に4回目を発行予定)。今後の業績によほど自信があるのかもしれないが、ストックオプションは発行する側にとっては無リスクなので、あまり参考にするのはやめようと思う。・・しかし、ストックオプションをこれほど連発した会社はこれまで見たことがない。ひょっとすると「大爆発」するのかもしれない。

動物実験施設の建設計画があったが、現在の施設を拡充する方向で動いているようなので、資金調達の必用はなさそうだとわかった。

今後3年の予想売上高成長率は年率0~10%程度。業績が急拡大するのは早くても3年後。現在の妥当だと思える時価総額は800億円(株価1400円)くらい。

■eBase
基本シナリオ:最強の商品情報管理プラットフォームに
コロナの影響で契約が遅延気味のようだが、コア事業(eBASE事業)の方はそこそこ順調な伸び。eBASEが提供するソフトウェアはクラウドサインのようにネットワーク効果付きなのでまだまだ成長しそう。

プラットフォームで集めたデータに付加価値を付けて販売するという新規事業の方も期待できる。一般に「観察できなかったものが観察できるようになると革命的な変化が起こる」と言われているが、データも顕微鏡や望遠鏡のようにこれまで観察できなかったものを観察できるようにしているので、eBASEもうまいことやれば小売業界に革命を起こせるかもしれない。現在、需要予測システムやPOSシステムを手がけるデータテクノロジー企業との提携を進めているようだが、こういった会社との提携を増やしていけばデータの付加価値を高めることができそう。

ただここで少し気になるのが、この会社の”おっさんくさい”ところになる。社員の口コミなどを見ると、この会社の組織文化は「統制的」「官僚的」な雰囲気があるように見えるが、データ利活用が活発な会社は「協調」や「創造」を重視する組織文化があるようなので、この点が今後少しネックになってきそうではある。

今後3年の予想売上高成長率は年率10%。現在の妥当だと思える時価総額は550億円(株価1200円、PSR25倍)くらい。2030年の予想利益は現在の3倍くらい。
*PSR算出で使う売上高は「eBASE事業」の売上高だけ。

■チームスピリット
基本シナリオ:最強の業務管理クラウドソフトに
コロナ下で、ラクスの「楽楽精算」は大きく伸びているが、「TeamSpirit」は伸びが若干鈍化している。「TeamSpirit」は単一ソフトと比べて大がかりなシステムのため導入が減っているとのことだが、「楽楽精算」を導入した企業が「TeamSpirit」を導入する可能性はほぼないので、この調子でいくとまずい状況になる。

チームスピリットは競争の激しい中小企業向けではなく、大企業向けに力を入れていくとは言っているが、大企業向けでも「コンカー」などがおり、競争は激しそう。

「TeamSpirit」が「楽楽精算」などの単一ソフトとAPI連携(ソフトウェア連携)をすれば状況は変わるかもしれないが、今のところそれをする気配はないので、今後成長スピードが落ちていくかもしれない。

勤怠管理や経費精算などを一体化した「TeamSpirit」のコンセプトは面白いと思うのだが、各々のソフトが弱いとろこに問題があると改めてわかった。

今後3年の予想売上高成長率は年率25%程度。今年の妥当だと思える時価総額は260億円(株価1600円、PSR10倍)くらい。2030年の予想利益は現在の3倍くらい。

■今後の計画
ポートフォリオの再構築はほぼ完了。今後しばらくはこの布陣でいこうと思う。

10倍株候補 ジモティー

■どんな会社か
地元取引掲示板「ジモティー」を運営する会社。「ジモティー」とは全国市区町村の情報を目的別に分類(クラシファイ)して掲載するクラシファイドサイトで、ユーザーは基本無料で「三行広告」を出すことができる。取引は直接会って行うのが原則。

収益の8割はサイトに表示される広告枠の販売から得ており、2割は提携サイトへの送客による成果報酬と、投稿有料オプション(投稿を目立たせる機能)からの収入になる。事業は国内のみで運営されており、完全な競合は存在しない。

広告枠の販売はページビューが増えるほど広告収入も増える仕組みで、ページビューはテレビCMや上場による知名度向上、コロナによる巣ごもりなどで順調に増えている。投稿が増えると自然検索でヒットする順位が上がり、広告宣伝費が軽くなるという仕組みでもあるので、ユーザーが増えるほど利益率が上昇するビジネスモデルになる。

業績は
2017年12月期が売上高6.6億円、営業損失-3.7億円
2018年12月期が売上高9.8億円、営業利益900万円
2019年12月期が売上高12.6億円、営業利益0.8億円
2020年12月期が予想売上高14.3億円、予想営業利益3億円
になる。2018年12月期から投資回収期に入っており、足下の業績も順調に拡大している。

利益は各四半期でばらつきが出るが、これは広告宣伝(テレビCM)の影響になる。大型家具・家電の処分が多くなる4月と12月の少し前にテレビCMを集中的に打つので、第1四半期と第4四半期の利益は下ブレやすくなる。

■成長ストーリー
「最強の地元取引プラットフォームに」が基本シナリオ。

ジモティーの基本ミッションは「粗大ゴミ削減」「貧困緩和」「ご近所付き合いの再構築」の3つになる。ジモティーはこれらのミッションをこなすことで、地域住民にとってなくてはならないプラットフォームになることを目指している。

現在、世界中で温暖化や環境破壊が続いているが、これらを食い止め、持続可能な状態にしていくにはリサイクルやシェアリングの発想が不可欠になる。リサイクルやシェアリングはネットとの相性がよく、ジモティーはこれらを円滑に行えるプラットフォームを提供することで地球への負荷を低減しようとしている。

ジモティーは各自治体との連携も強化し始めており、今年2月にはさいたま市、7月には北海道北見市との連携を発表している。各自治体では増え続ける粗大ゴミの処分が課題となっており、ジモティーと連携することで粗大ゴミの削減を目指している。

2つ目のミッションは「貧困緩和」になる。日本では世帯の貧困化が社会問題になりつつあるが、日本の世帯の平均所得は非正規雇用の増加などにより長期的に低下傾向で(*2014年以降は最低賃金引き上げ策などによりいったん反発)、今後もAIやロボットなど影響により、さらに低下していく可能性が高い。現在、平均所得が300万円以下の世帯は全世帯の約33%あり、このような状況で一定の生活水準を維持するには地域内での譲り合いが不可欠になる。ジモティーは不要品を譲り合えるプラットフォームを提供することで「貧困緩和」に貢献しようとしている。

3つ目のミッションは「ご近所付き合いの再構築」になる。日本では核家族化やインターネットなどの影響により地域住民同士の繋がりが希薄化しつつある。そのため、何か助けが必用になったときに近隣住民に協力を求めにくくなっている。ジモティーは個人が気軽に「三行広告」を出せるようなプラットフォームを提供することで近隣住民の繋がりを再構築しようとしている。

これらのミッションをこなして「ジモティー」が地域社会にとってなくてはならないプラットフォームに成長していくと、今度は「仕事」や「不動産」のカテゴリーの隆盛も期待できるようになる。もともとこれらのカテゴリーは「地元」との相性がよく、米国でクラシファイドサイトを運営するクレイグスリストの求人広告プラットフォームは全米最大規模にまで成長している。

日本でのクラシファイドサイトは始まったばかりで、ジモティーの売上高はまだ15億円にも満たない。先行する米中のクラシファイドサイト企業の売上高は2000億円を超えているので、ジモティーには少なくともあと10倍以上の成長余地がある。

■問題点
・ヤフーやメルカリが参入してくる可能性がある
クラシファイドサイトはフリマサイトとの相性が良さそうなので、ヤフーやメルカリが参入してくる可能性がある。両者とも知名度抜群で資金力(開発力)があるので、参入してきたら脅威になる。ただクラシファイドサイトが地域に定着するまで最低でも5年はかかるようなので(参照)、今からジモティーに追いつくのは難しそうでもある。

・買収される可能性がある
ジモティーは前途有望なクラシファイド広告市場を独占しているので買収される可能性がある。買収しそうな会社はZホールディングス(ヤフー・LINE連合)やメルカリあたりになるが、もし買収されたらテンバガーを達成できなくなる。

・広告枠の価値が低い
ジモティーのユーザーは基本的に金欠気味の人が多いので、広告枠を高い価格に設定できない。ただジモティーの広告枠は現状でかなり安い水準に設定されているようなので(参照)、今以上に下がることはなさそう。
*広告枠の価値が低いためか、「ジモティー」で表示される広告の中にはぞっとするような気持ちの悪いものもある。こういうのを見るとサイトを見る気が失せるので載せない方が良いのではないかと思う。

広告枠の価値が低いとドコモから提携を解消される可能性も出てくる。過去、ジモティーに出資していた三菱UFJキャピタル、KDDI、フジ・スタートアップ・ベンチャーズはすでにジモティーから撤退しているが、撤退したのはここらへんに理由がある可能性がある。ただドコモの真の狙いは国内最強のクラシファイドサイトを手に入れることだと思うので、この点はあまり心配しなくてもよいかもしれない。
参照:ジモティーIPOまでの資本政策。VCファンド主導型スタートアップの今後

・売り圧力が強い
この会社は昨年12月にベンチャーキャピタルのイグジット(保有株売却)を目的に上場されたが、ベンチャーキャピタルの保有株は少なくともあと25%は残っているので、売り圧力はまだまだ強そう。ただこれは本質的な問題ではないので、あまり気にしなくてもよさそう。

追記。8月にオプトが3%売却しているので、現在のVC保有比率は22%超まで低下している。

・株主目線の経営は期待できない
社長は自社株を8%保有する”オーナー経営者”ではあるが、創業者ではなく、株式上場後に「自社の戦略を説明する必用はない」として記者会見を行っていないので(3/4日経)、株主目線の経営は期待できそうにない。

ただ社長はリクルートのマネージャー時代のインタビューで「お客さんは熱い思いを持っている経営者が多い。とにかくお役に立ちたい。単なる金儲けには興味がありません」と語っており、2014年のインタビューでは「将来的に高収益事業になることを見据えて息の長いサイト運営を目指す」と言っているので、経営能力の方は特に問題なさそう。
*創業者はインフィニティ・ベンチャーズ・パートナーズの小野裕史氏になる。インフィニティ・ベンチャーズは主に海外で流行っている事業を国内に移植する事業を行うベンチャーキャピタルになる。
ーーーーー
<社長の経歴など>
・大学卒業後、リクルートで約10年間フロムエーやカーセンサーなどのB2Cプラットフォーム事業に携わる。2011年にヘッドハンターから声がかかり、CGM型プラットフォームにチャレンジしてみたいとのことで、2011年10月にジモティー社長に就任。
*B2C とは、Business to Customerの略で、企業と消費者の取引のこと。
*CGMとは「消費者生成メディア」の意で、一般ユーザーが参加してコンテンツができていくメディアのこと。口コミサイトやSNS、YouTubeなどがそう。CGM型は数千万人のユーザーが利用するので、B2C型を凌駕するコンテンツ生成力があるとされる。
ーーーーー

・創業者が株式を売っている
ジモティーはインフィニティ・ベンチャーズ・パートナーズが100%出資して作った会社だが、そのベンチャーキャピタルが持ち株をほとんど売り尽くしている(現在残っているとしても4%程度)。ベンチャーキャピタルは株式公開後に保有株式を売却してキャピタルゲインを得ることを目的にしている会社なので、株式上場後に株式を売却するのは当然なのだが、成長期待があるならもう少し持っていてもよいはず。内部事情をよく知るインサイダーが売っているので成長は頭打ちの可能性もある。ただインフィニティ代表の小野氏は2014年にジモティ-の取締役を退いているので、現在の内部事情にはそれほど通じてないのかもしれない。

・コロナで広告需要が減少している
ジモティーの収益の柱は広告収入になるが、コロナの影響で広告需要が大きく減少している。ただ、コロナは一過性のことであり、コロナが過ぎ去れば広告需要は元に戻るのでこれは本質的な問題ではない。コロナ下ではジモティーの利用率・知名度が向上するので、長期で考えるとコロナの影響はプラスに働きそうでもある。

・コロナでシェアリングが減るかもしれない
コロナの感染が拡大した場合は、感染リスクから対面取引や物品譲渡が敬遠される可能性がある。

・トラブルが頻発する可能性がある
「ジモティー」では対面取引が基本なのでトラブルが頻発する可能性がある。先行する米中では深刻な事件も発生しているもよう。ただジモティーはこの事業を10年近くやっており、米中のサイトも研究しているようなので、ここらへんのノウハウは蓄積されていそうでもある。ただ、それでもなにか大きな事件が起きた場合はユーザーが離れる可能性がある。

■チャート
過熱感はあるが、特に問題なさそう。
*現在のチャートは「ヤフー掲示板の影響力」を参照。

■利益成長を続けやすいビジネスモデルか ★★★★☆(4.3)
・参入障壁は高いか。★★★★☆。市場をほぼ独占しているのでかなり高い。
・ストック型ビジネスモデルか。★★★☆。人気のあるプラットフォームなのでストック型にはなるが、不況時は広告収入が落ち込む。
・時流にのっているか。★★★★★。地域に特化した取引サイトは社会に不可欠。

■まとめ
屁理屈をいろいろ書いてきたが、この会社は単純にビジネスモデルが強いので業績は順調に拡大していきそう。今後1,2年はコロナの影響で業績(広告収入)が伸び悩みそうだが、長期的な見通しは悪くない。株は長期で保有しようと思う。

ヤフー掲示板の影響力

6月の終わりにジモティー株を購入したが、その後株価が下落して損切りラインを一時割り込んでしまった。ジモティーを詳しく調べてみると良さそうな会社だとわかったので、損切りはしないことに決めたのだが、株価が損切りゾーンに入ると不愉快な気分になってしまった。

そこで試しにヤフーファイナンスにあるジモティー掲示板にカンフル剤になりそうな情報を書き込んでみた。そしたら翌営業日に株価が下げ止まり、そこから怒濤の反転攻勢が始まった。まさか、とは思ったが、他にこれといった情報もなかったので、この書き込みが影響した可能性もある。とりあえず今回の一連の流れを書いてみる。

■7月17日の半年チャート
ダブルトップとデッドクロスが完成。株価は累積売買高の「底」を下回る。機関投資家の空売りも増え始め、ダダ下がりモードに入り始めていた。


■7月18日(土)に書き込んだコメント
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米クレイグスリストの売上高 1000億円(2018年)
https://ja.wikipedia.org/wiki/Craigslist

米ebayのクラシファイド事業「Gumtree」「Kijiji」の売上高 1000億円
https://jp.reuters.com/article/ebay-classifieds-m-a-idJPKCN24I0BC

中国の58.comの売上高 2200億円
*SBIの外国株式サイトの業績予想を参照

ジモティーの売上高 15億円

ジモティーは20バガーくらいは目指せると思うけどなあ・・。

ただベンチャーキャピタルの売り玉(オプトと環境エネルギー投資の保有分25%)がはけるまでは上値が重そうだけどね。
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■現在の1年チャート

■まとめ
こう見てみると、やはり書き込みが影響した可能性も少しはありそう。ヤフー掲示板は投資家のアクセス数が最も多い掲示板なので、情報次第ではそれなりの影響力があるのかもしれない。今後また使えそうな情報があったら試してみようと思う。

・・ただ株価が予想以上に上がってしまった。これでクラシファイド広告市場が有望だとバレ、ヤフーやメルカリなどが参入してきたら大変なことになる。そう考えると、今回の書き込みは「余計なこと」だったのかもしれない。

ランサーズ

■調べようと思ったきっかけ
7/26ヴェリタスに「ランサーズの曽根秀晶取締役は「今回のコロナ禍は国内のクラウドソーシング市場の成長を10年早める」とあり、記事で紹介されていたファイバーインターナショナル(ナスダック上場)を調べてみたら株価が上昇していたから。

■どんな会社か
クラウドソーシング・プラットフォーム「ランサーズ」を運営する会社。事業規模は国内2位。

プラットフォーム事業は大別して「オンライン・スタッフィング・プラットフォーム」事業と「クラウドソーシング」事業の2つがある。

「オンライン・スタッフィング・プラットフォーム」事業とは、いわば派遣社員のオンライン版のようなもので、これまで社内で行っていたような事務、システム開発、デザインなどの業務をオンラインで完結させるものになる。業務を請け負うのは実名・写真登録をした、特定のスキルを持つ人材になる。依頼単価は相対的に高く、この事業がランサーズの売上の約9割を占める。

「クラウドソーシング」事業とは、匿名の個人がデータ入力や集計などスキルをそれほど必用としない業務を行うものになる。依頼単価は相対的に安く、ランサーズの売上に占める割合は1割程度で、年々減少傾向にある。

両事業とも企業がフリーランス人材に支払った金額の約20%をランサーズが手数料として受け取る。これがランサーズの収益源になる。

業績は
2019年3月期が売上高25億円、営業損失2億円
2020年3月期が売上高34億円、営業損失3億円
2021年3月期(予)が売上高40億円、予想営業利益0.4億円
になる。業績は順調に拡大しており、今期に黒字転換する予定。

■成長ストーリー
「ある意味、最強のクラウドソーシング・プラットフォームに」が基本シナリオ。

日本は1990年頃まで米欧に追いつけ追い越せで成長してきたが、いざ追いついてしまうと成長が止まってしまった。成長が止まった要因はいくつか挙げられるが、その中の1つに雇用形態の問題がある。

日本の主な雇用形態は終身雇用を前提に、会社の一員となった社員が様々な職責を負う「メンバーシップ型」になる。この雇用形態は職務を限定せず、様々な職務を経験させることで総合的な力を養うところに主眼を置いている。このような雇用形態は優れた製品を大量に作り、安価で世界に販売する工業時代には合っていた。しかしアイデア(ソフトウェア)が価値を生み出す情報時代には合わなくなってきた。

一方、米欧の主な雇用形態は職務内容があらかじめ明確に規定された「ジョブ型」になる。この雇用形態はスキルに応じて人材を配置し、成果によって評価するもので、個人の専門性を高めるところに主眼を置いている。成果を出せない場合や職務が消失した場合は雇用契約を解除されるという欠点はあるものの、適材適所に人材が配置され、専門性の高いプロフェッショナルを生み出すという利点がある。

創造性において競う場合、メンバーシップ型で育成されたゼネラリストは、ジョブ型で育成されたスペシャリストには勝てない。日本が今後「創造性」という土俵で世界と戦っていくためには雇用形態をジョブ型にシフトしていく必用がある。

政府はすでにこの点を認識しており、厚労省は2018年に個人の専門性を高めることを目的に、副業禁止の規定を「原則禁止」から「原則自由」に180度転換した。

企業の意識も変わりつつあり、副業を解禁する東証一部企業は2014年の15%から2019年には50%にまで増加している。

このような下地ができていたところで新型コロナが発生し、ジョブ型雇用への移行が一気に加速し始めた。新型コロナで急増したリモートワークは、職務内容を明確にし、その成果を評価するというジョブ型雇用そのものであり、リモートワークで増えている副業もジョブ型になる。

コロナが収束すれば元の勤務形態に戻る可能性もあるが、ランサーズの調査ではテレワーク経験者の9割が今後もテレワークを継続したいと回答しているので、この流れは継続する可能性が高い。会社側も今回の在宅勤務でリモートワークの利点を知り、会社にいない人材を使うことへの抵抗も薄れてきているので、リモートワークや副業が定着する可能性は高い。

コロナ発生後、ランサーズへの新規登録や企業からの問い合わせは倍増しており、上記を勘案すると、今後もこの勢いが続く可能性は高い。

国内の(広義の)フリーランス人口は現在、労働人口の5分の1(1100万人)程度になるが、米国では労働人口の3分の1(5700万人)程度がフリーランス人材で、それが2027年には2分の1超になるとも言われているので、日本でも今後フリーランス人口が急増していく可能性が高い。

■ランサーズの強み
国内で同業を営む会社は他にもあるが、ここではランサーズならではの強みについて考えていく。

・プラットフォームの質が高い
オンライン業務では職務の成果が如実に表れるので、質の高い人材の確保が不可欠になる。ランサーズでは登録する際に実名や写真登録はもちろん、簡易テストなどを実施して他社よりも”敷居の高い”登録制にしている。また職務完了後に顧客のフィードバックや業務態度などを「能力ランク」に反映していくので、人材の評価・ステータスが一目でわかるようになっている。

企業側の認証・ランク付けも行っており、ランサーズのプラットフォームは質の高い人材と質の高い企業をマッチングさせる仕組みになっている。

・フリーランス人材のサポートを強化している
登録する人材の生産性を高めるためには長く働いてもらうことが重要になるが、フリーランス人材は社会的な信用が一般の会社員よりも低く、十分な社会保障を受けにくいという問題があり、定着率はそれほど高くない。そこでランサーズはフリーランス人材に会社員と同じようなサポートを受けられるようなサービスを提供して、安心して長く働けるような環境作りをしている。

ランサーズでは外部企業と連携して各種サポートを行う「Freelance Basics」というサービスを提供しており、このサービスを使えば健康診断や契約書のレビューなど普通の会社で受けられるようなサポートを受けられる。また収入証明などを元に与信を得られ、家賃保証を受けられたり、クレジットカードを発行したりできる。各種スキルを高める講習も受けられる。

・適応力・開発力が高い
ランサーズはコロナ発生後に、企業の要望に応じて即座にオンラインのBPOセンターを立ち上げている。
*BPOとは、Business Process Outsourcingの略で、企業がコアビジネス以外の業務を外部企業に委託すること。

それ以外にも、大企業がランサーズに登録する人材を社内人材のように使える「Lancers Enterprise」というサービスの提供も始めている。このサービスを使えばクラウド上でチームを迅速に編成でき、数日で仕事を発注できるようになる。企業はオフィスなどの固定費を負担する必要がないというメリットもある。

■問題点
・参入障壁が低い
当初、クラウドソーシング市場は、クラウドワークス、未来ワークス、うるるなど数社の寡占体制になると思っていたが、コロナを機に大手派遣会社が続々と参入してきた(8/19日経)。おそらく中小の派遣会社もすでに参入していると思うので、クラウドシーシング市場はレッドオーシャン化しつつある。

・収益力が弱い
今期に黒字転換しそうだが、今期は広告宣伝費を丸々カットしているので、安定軌道に乗ったとは言いがたい。このような状態で競争激化の雰囲気が漂い始めたので、今後、再び赤字に転落する可能性もある。

・増資を頻発しそう
収益基盤が盤石ではなく、社長は「まだまだ資金が必要」と言っているので、今後増資を頻発する可能性がある。

■チャート
<8月7日のチャート>
移動平均線が収斂して力をため込んでいる状態。決算で上下どちらかに大きく振れそう。

<現在のチャート>
1000円台の「壁」を突破し青天井モードに入った模様。・・いやこれは三尊天井か?
*ランサーズ株は「壁」を突破した直後に売ってしまった。

■利益成長を続けやすいビジネスモデルか ★★★
・参入障壁は高いか。★☆。低い。派遣会社が続々と参入してきている。
・ストック型ビジネスか。★★☆。現時点では企業のリピート率が8割程度なのでストック型にはなるが、競争激化で下振れしていく可能性がある。
・時流に乗っているか。★★★★★。ジョブ型雇用やリモートワークはメガトレンド。

■まとめ
そこそこ有望な成長ストーリーが描けていたが、それも日経の記事で台無しにされてしまった(笑)。社長や社風が良さそうな会社だっただけに残念。

NexTone

■どんな会社か
音楽著作権を管理する会社。他に、管理する楽曲をプロモートする「キャスティング事業」も手がける。国内で音楽著作権を管理する会社はNexToneとJASRACのみ。

2020年3月期の売上高の内訳は著作権管理事業が87%、キャスティング事業が11%、その他が2%になる。

業績は
2019年3月期が売上高32億円、営業利益1.8億円
2020年3月期が売上高43億円、営業利益3億円
2021年3月期(予)が売上高56億円、営業利益3.8億円
になる。売上高は年約30%の勢いで伸びている。

■成長ストーリー
「打倒JASRAC」が基本シナリオ。

国内の音楽著作権管理ではJASRACが市場をほぼ独占(占有率約96%)しているが、このJASRACの牙城を切り崩していくのがNexToneの基本戦略になる。

切り崩すポイントは4つ。
1つ目が「著作権利者の権利拡張」になる。JASRACとの信託委譲契約では著作権をJASRACに移管するので、著作権者は使用料率を自由に変更できないという問題と、自作曲をコンサートなどで演奏するときに著作権料を支払わなければならないという問題がある。一方、NexToneとの管理委託契約では著作権が著作権者に残るのでこのような問題は発生しない。

2つ目が「デジタルに特化」になる。JASRACは著作権のデジタル管理が遅れているため、楽曲使用料の分配が不透明という問題がある。JASRACはライブハウスやスナックなどから床面積や客席数に応じて一律に楽曲使用料を徴収しているが、ライブハウスを経営するミュージシャンからは著作権料が全く支払われてない、などの訴えを起こされている。一方、NexToneはデジタル管理システムを完備しているので、透明性の高い楽曲使用料の分配ができる。加えて、配信された楽曲がどこで、どのくらい使われたのかを正確に把握することもできるので、権利者は楽曲利用データを創作活動やマーケティング活用に活かすこともできる。

3つ目が「管理手数料の安さ」になる。NexToneはデジタル管理のみなので、運営コストがほとんどかからない。すべての楽曲利用区分においてJASRACよりも安い手数料になっている。

4つ目が「楽曲のプロモーション」になる。NexToneでは管理している楽曲(やそのアーティスト)をプロモートする事業も行っているが、JASRACではこのような事業は行っていない。

日本の音楽著作権管理市場は1200億円くらいで頭打ちになっているが、NexToneが得意とするデジタル配信はその中で順調にシェアを拡大している。社長は現在3.7%の著作権管理シェアを早期に10%(徴収額300億円)まで高めると言っている。

■問題点
・市場を独占している非営利団体には勝てない
現在、JASRACは市場の約96%を占有しているが、プラットフォームはユーザーにとっては一つの方が利便性が高いので、一度市場が独占されたら後から参入するのは非常に困難になる。独占企業には価格支配力が高まるという問題が付随するが、JASRACは非営利団体の社団法人なので闇雲に手数料を引き上げるという展開は考えにくい。

JASRACの管理手数料はNexToneに比べて割高に設定されているが、これはアナログ管理も行っているためになる。足下ではデジタルシフトを着実に進めているので、その進捗に従い今後、管理手数料を下げてくる可能性が高い。そうなるとNexToneには付け入る隙がなくなる。

・著作権使用の監視、法的対処ができない
JASRACとの契約では、著作権(財産権)をJASRACに移管するので、JASRACは著作権使用の監視や法的対処の義務を負う。一方、NexToneでは著作権がNexToneに移動しないので、管理作品が第三者に無断で使用された場合は著作権者が法的措置をとらなければならない。音楽出版社(や一般人)が著作権使用の監視や法的対処をすることは非常に困難なので、NexToneに著作権を委ねる音楽出版社は限られるのではないかと思う。
*NexToneとの契約は音楽出版社しかできない。JASRACは個人でも契約が可能。

・CISAC(著作権協会国際連合)に加盟できない
海外での著作権管理では、各国の著作権管理団体と連携して使用料を徴収・分配する必用があるが、CISACには営利団体(NexTone)は加盟できない(JASRACは加盟)。NexToneは一部の国の管理団体と契約をしているが、それ以外の国で著作権管理をする場合は、都度、その国の管理事業社と提携していかなければならない。

・演奏権を管理してない
演奏権の管理事業は著作権管理市場の約20%(240億円)を占めているが、NexToneはまだ参入できていない。今後は参入していくようだが、扱う楽曲数が極小なので、カラオケを配信する会社などからは面倒くさがられそう。
*演奏権とはカラオケ、コンサート、BGM、音楽教室などで楽曲を使用する権利のこと。

・コロナの影響を受ける
中期的には巣ごもりなどの影響で音楽配信は伸びていきそうだが、コロナが長期で続いた場合は、アーティストの創作活動や興業活動が停滞し、音楽産業全体が停滞する可能性がある。

■チャート
典型的な上昇チャートにみえる。

■利益成長を続けやすいビジネスモデルか ★★☆
・参入障壁は高いか。★☆。新規参入はなさそうだが、JASRACが築いた参入障壁が非常に高い。
・ストック型か。★★。基本的にはストック型だが、JASRACのデジタル化が進んだら管理手数料が落ちていきそう。
・時流に乗っているか。★★★★。著作権管理のデジタル化はメガトレンド。ただ国内音楽市場の成長は頭打ち。

■まとめ
JASRACの独占支配を切り崩そうとするNexToneには存在意義があるとは思うが、NexToneにもいろいろ問題があるので、大きく切り崩すのは難しそう。それ以前の問題として、頭打ちの市場でシェア争いをするという構図にいまいち興味が持てないので、この会社はパスしようと思う。

中村超硬

■調べようと思ったきっかけ
SBIがジモティーを大量保有したのがきっかけ。SBIの売買動向を見るとジモティーを買ってNexToneを売っていたので、このブログと考え方が近いと思った。そんなSBIが中村超硬を買い増していたので興味が湧いた。

■どんな会社か
去年までダイヤモンドワイヤーの製造・販売が主力だった会社(現在は採算悪化のためほぼ撤退)。現在は化学繊維用紡糸ノズル事業(マスクの不織布製造装置など)と特殊精密機器事業(5G関連機器など)が主力。新規事業のナノゼオライト事業を育成中。

業績は
20193月期が売上高48億円 営業損失42億円
20203月期が売上高28億円 営業損失5億円
20213月期(予)が売上高33億円 営業利益3億円
になる。業績は下げ止まった感じ。

■成長ストーリー
「ナノゼオライトでテンバガー達成」が基本シナリオ。

現在の業績の柱である2事業はマスク特需や5G特需の影響でしばらくは堅調に推移しそうだが、長期的な見通しはパッとしない。今後、この会社の成長ドライバーになりそうなのはナノゼオライト事業になる。

ナノゼオライトとは従来の工業用ゼオライトを100分の1くらいの大きさにしたもので、従来のゼオライトが持つ特徴(吸着、イオン好感、抗菌、触媒、消臭など)に、透明性、高分散、なめらかな感触、吸着量増加、吸着速度向上、沈降速度低下の機能が付加されたものになる。この新たな特性により、これまのゼオライトでは実現できなかった用途での活用が期待されている。

ナノサイズのゼオライトはこれまでも存在はしていたが、製造コストが高く、ほとんど普及してこなかった。こうした状況に対し、中村超硬は2012年から東大と共同研究を始め、2019年に低コストでのナノゼオライトの製造に成功した(特許取得済み)。

中村超硬は現在、約50社にサンプル出荷しており、様々な製品での開発が進められている。その中で最も開発が進んでいるのが高機能フィルムで、薬や食品、電子部品などの包材としての利用が期待されている。

潜在市場が最も大きのがリチウムイオン電池向けで、リチウムイオン電池にナノゼオライトを添加すると放電容量を低下させ、電池を高寿命化させることがわかっている。

他には、水と混ざると発熱する特徴を活かしたパック・クレンジング剤、半導体の封止材、二液型接着剤などへの活用が期待されている。

■問題点
・リチウムイオン電池市場はレッドオーシャン市場
リチウムイオン電池市場は巨大なので競合が多い。この市場ではまず素材同士の競争に勝たねばならない。多孔性金属錯体などナノゼオライトに似た物質は他にもあり、米テスラの160万キロ走行できるとされる次世代バッテリーには長寿命化のためにジフルオロリン酸ナトリウムが添加されている(9/5EVスマートブログ)。仮にここでの競争に勝ち抜いても、次はナノゼオライト市場に参入してくるであろう企業群と戦わなければならない。

・資金不足
ナノゼオライトはゼオライトを微細化したものにすぎないので、技術障壁はおそらくそれほど高くはない。競争優位性を保つには研究開発投資が必用になるが、中村超硬は4月に債務超過を解消したばかりなので投資できる資金がほとんどない。ナノサイズのゼオライトは旭化成なども製造しているので早々に追いつかれる可能性がある。

これらの点を考慮すると、中村超硬は今後、研究開発や工場建設のために増資をする可能性がある。

・リチウムイオン電池の「次」の電池でナノゼオライトが使われるかわからない
近い将来、リチウムイオン電池に代わる全固体電池や空気電池などが登場すると言われているが、そこでナノゼオライトが活躍できるかわからない。

・テンバガーストーリーを描きにくい
この会社がテンバガーを達成するには売上高を現在の10倍(300億円)程度まで増やす必用があるが、現在売上ゼロのナノゼオライトが売上100億円を突破するところを想像しにくい。ナノゼオライト事業の売上が立つのは早くて2022年になるが、売上が10億円を超すのは早くても2024年頃になりそう。

■チャート
<1年チャート>
底値を切り上げている
移動平均線が収斂
三角持ち合い
一目均衡表の雲は薄く、あと少しで抜けそう
ハイプサイクル的には期待相場が終わり、業績相場に入ったところ
ただし200日線が下向きに転じており、1000円台に分厚い「壁」があるので天井感がある。

<5年チャート>
「壁」が分厚い。

■利益成長を続けやすいビジネスモデルか ★★☆
・参入障壁は高いか ★★★☆ ナノゼオライトはそこそこ高そう。
・ストック型か ★ 全事業がフロー型。
・時流に乗っているか ★★★☆ ナノゼオライトに関して言えば機能面でも環境面でも時流に乗りそうな感じがするが、それも成功したらの話。

■まとめ
ナノゼオライト事業には中村超硬の社運がかかっているので、なんとか軌道に乗せてきそうではある。ナノゼオライトを活用した製品が市場に出てくるあたりで、株価は1000円台の「壁」を突破するのではないかと思う。ただ、現時点では不透明要素が多いので、しばらく様子を見ようと思う。

WDBココ

■調べようと思ったきっかけ
・チャートが出来高をつけて“ブレイク”していたから。
・情報が少なく調べるのが簡単そうだったから。

<9月11日の1年チャート>
・このチャートではわかりにくいが、9月上昇時の出来高は平均出来高の5倍以上をつけている。
・3000円台にある「壁」を突破。
・ゴールデンクロスを形成。

■どんな会社か
医薬品の安全性情報管理業務を製薬会社から請け負う会社(CRO)。他に、ドキュメントサポート事業、開発サポート事業、臨床開発支援事業なども手がける。両事業ともほぼストック型収益事業で、売上の内訳は安全性情報管理事業が約75%、その他事業が約25%になる。
*安全性情報管理業務とは、主に医薬品の副作用情報を管理する業務。
*CRO(医薬品開発業務受託機関)とは臨床試験や安全性情報管理などの業務を製薬会社から受託・代行する機関。

業績は
2019年3月期が売上高17.8億円、経常利益3.3億円
2020年3月期が売上高22.8億円、経常利益4.6億円
2021年3月期(予)が24.1億円、経常利益4.7億円
になる。売上は順調に伸びており、経常利益率は20%程度で推移している。

■成長ストーリー
「最強の安全性情報管理プラットフォームに」が基本シナリオ。

近年、日本では少子高齢化に伴い社会保障費(医療費等)の抑制機運が高まっており、国は薬価引き下げやジェネリック薬の利用促進などを行っている。創薬においてはバイオ医薬品へのシフトや新技術の取り込み、大型薬の出尽くしなどにより製薬会社の投資負担は増している。加えて、医薬品の安全性情報(副作用情報)のガイドラインが強化され、製薬会社はその対応を迫られている。

製薬会社の収益環境は年々厳しくなってきており、製薬会社は低コスト体質と革新的な創薬を両立できる体制に向けて、創薬以外の業務をアウトソーシング(外部委託)する流れになってきている。外部委託される業務のなかで今最も伸びているのが医薬品の安全性情報管理業務で、この業務受託を主業とするWDBココはこの需要を確実に取り込んでいくことを基本戦略としている。

安全性情報管理市場は年約10%のペースで拡大しており、2019年には186億円の市場になっている。市場の拡大は今後も続く見込みで、2030年には400億円くらいまで成長する可能性がある。

<WDBココの強み>
安全性情報管理業務を請け負うCROは他にもあるが、ここではWDBココならではの強みについて考えていく。

・人材コストが低い
他のCROでは臨床試験のモニタリングや統計解析などを行う専門性の高い人材が安全性情報管理業務も行っているので人材コストが高くなるが、WDBココは専門性をそれほど必用としない安全性情報管理業務に特化しているので、未経験者を採用し、人材コストを低く抑えることができる。

・業務効率化のノウハウが豊富
WDBココはメディカル系人材派遣会社WDBホールディングスの子会社なので、業務効率化のノウハウが豊富にある。安全性情報管理においてもこのノウハウを活用して徹底的に合理化している。RPAなどの自動化テクノロジーの導入にも積極的で、人がやるべきでない業務は全て自動化する方向で動いている。
*RPAとはロボティック・プロセス・オートメーションの略で、ソフトウェア型のロボットが作業を代行する手法。

・人材の供給源がある
親会社はメディカル系人材派遣会社のトップ、WDBホールディングスなので、WDBココは機動的に人員を補充できる。

これらの強みにより、WDBココの安全性情報管理業務の請負料金は他社よりも10~30%安い。WDBココは顧客との取引期間中に継続的にコストを落としていく仕組みも導入しているので価格競争力は極めて高い。

■問題点
・市場がそれほど大きくなさそう
安全性情報管理市場は10年後に現在の2.5倍くらいの規模にとどまりそうなので、WDBココはそれほど成長できなさそう。他のCROから仕事を奪ってくれば市場拡大ペース以上に成長できそうだが、下記のエムスリーの問題などもあり、このシナリオにはやや不透明感がある。

社長は「事業領域を拡大していく」ともいっているが、WDBココはWDBホールディングスが抱えるCRO事業の一部門にすぎないので、他の部門との兼ね合いでWDBココだけが新たな事業領域を拡大していくのは難しいのではないかと思う。現時点では新規事業の具体性がないので、この点にも不透明感がある。

・最終的にはエムスリーのプラットフォームに集約される?
WDBココの安全性情報管理業務では、製薬会社のMR(医療情報担当者)が病院から回収した副作用情報を受け取って、それを処理しているが、このMRを介する一手間は無駄に見える。エムスリーのプラットフォームを使えばこの一手間を省くことができるので、最終的には安全情報管理はエムスリーのプラットフォームに集約される可能性がある。

エムスリーもCRO事業を手がけており、もしエムスリーが本腰を入れて安全性情報管理業務を始めたら脅威になる。しかし、現時点でその気配はなさそうなので、最終的にはWDBココがエムスリーのプラットフォームで副作用情報を収集し業務を行っていく、という流れになるのかもしれない。
*副作用の情報収集はMRの病院での聞き込みや調査が重要な可能性もある。もし情報収集にMRを外せないとしたらエムスリーの脅威は半減する(要調査)。

・離職率が高い?
社員の口コミをみると「単純労働」「給料が上がらない」などの口コミが目立つ。WDBココの安全性情報管理は未経験社員の生産性を高めてコストを落としていくところに強みがあるので、離職率が高くなるとコストを落とせなくなる。

・コロナの影響を受ける
社長は「コロナによる業績への大きな影響はない」とはいっているが、MRの医療機関への訪問自粛や通院患者の減少により副作用情報の入手量が減少しているようなので、委託業務量も減少している可能性が高い。また製薬会社との交渉が停滞している可能性もある。コロナは一過性の問題なので長期ではそれほど問題なさそうだが、コロナ下では業績が伸び悩みそうでもある。

■利益成長を続けやすいビジネスモデルか ★★★☆
・参入障壁は高いか ★★★☆ 地味でややこしい領域なので新規参入はなさそう。ただエムスリーが本格参入してきたらピンチになる。
・ストック型か ★★★★ 安全性情報管理業務は基本的に医薬品の販売が終了するまでの契約なのでストック型。
・時流に乗っているか ★★★★ 製薬会社のコア業務以外のアウトソーシングはメガトレンド。ただ市場の拡大余地は現在の3倍くらいしかなさそう。

■チャート
<1年チャート>
やや過熱感はあるが、青天井モードに入っているので上値は軽そう。

■まとめ
調べ始めてすぐに良さそうだとは思ったが、情報が少なく、過去の苦い記憶がフラッシュバックしたので、「妄想」を一週間ほど寝かせることにした。しかし、その間に株価は大きく上がってしまった(笑)。

この会社のビジネスモデルはそこそこ強いので、株価は5500円(PSR5倍、時価総額120億円)くらいまでは上がりそう。ただそれ以上は市場規模の問題やエムスリーの問題があるので難しいのではないかと思う。もう買うチャンスは来ないと思うが、もう少し様子を見ようと思う。