ペプチドリームが抱える最大の問題点は環状ペプチドが細胞膜を透過できるかどうかになる。経口薬にするには細胞膜を透過できなければならず、長期的に見るとこの問題を解決することが極めて重要になる。
医薬品になる化合物の法則にリピンスキーの法則(改訂版)というものがある。製薬会社はこれに準じて候補化合物の選定を行っている。この法則の中に「分子量は1000以下」という条件がある。環状ペプチドの平均分子量は1500であり、この条件から逸脱している。
昨年開かれた武田科学財団のシンポジウムでも中分子医薬が細胞膜に跳ね返されているという報告が多かったという。リピンスキーの法則の改訂版を作ったKihlberg教授も環状ペプチドは過剰な注目を浴びていると言っている。
素人的には、分子量1000までしか通らない細胞膜に、分子量1500の環状ペプチドを通すのは物理的に無理があるのではないかと思っていた。しかしながら調べてみると打開策もありそうなので、それらをメモっていく。
方法1 ペプチドを環状化する
ペプチドを環状化するとPSA(分子極性表面積)が増して細胞膜透過性が向上するという。免疫抑制剤としてすでに製品化されているシクロスポリンという環状ペプチドは分子量が1200あるにもかかわらず細胞膜を透過している。昨年12月にはノバルティスが経口可能な環状ペプチドを作ったとの報がペプチドリームのIRから出されている。
方法2 分子量1000以下の環状ペプチドを作る
方法3 胎盤形成時の細胞融合に関わるシスシチンの部分ペプチドを使う
これを使えば従来の細胞膜透過性ペプチドよりも細胞質への送達効率を数十倍向上させられるという。抗体や核酸のような高分子化合物でも細胞内に取り込めるという。
これは細胞膜を透過させるとうよりも、細胞に吸収させるという方法。
方法4 オリゴ核酸誘導体を使う
*詳細は不明
方法5 ???
*発見次第メモっていく。
参考 リピンスキーの呪縛を中分子薬が打開する秘策 2016年1月25日
慶大、タンパク質の細胞質送達を促進するヒト由来ペプチドを発見
日経産業新聞 2017年4月13日
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