2016年11月18日金曜日

コメディアンが大統領に

何を言い出すのかわからない――。これは一流芸人には欠かせない資質だがそんな資質を持った人が米国の大統領になってしまった。オバマ大統領は投票前に「トランプ大統領はジョーク」と言っていたがそのジョークが現実のものとなってしまった。

今回トランプ氏が当選したのは、移民やエリート層への反発といったイギリスがEUを離脱したのと同じような理由が主だろうが、笑いのセンスで聴衆を引きつけたのも勝因の1つではないかと思う。笑わしてくれる人は自然と好感度が上がり、ついつい親近感が沸いてしまうからだ。トランプ氏は大統領候補とは思えぬ下品な発言を連発し、巧みな比喩などで大いに楽しませてくれた。

トランプ氏は対立候補を「いかさまヒラリー」「嘘つきテッド」「チビのマルコ」「低エネルギー」などとニックネームで呼んでいたが、これはなかなか面白かった。TPP撤退時には日本のことを「挑戦的な為替の詐欺師」と言っていたのも誇張が効いていて笑えた。

対立候補を批判する発言も品位が欠けていて良かった。フィオナ氏に対しては「あの顔をみてみろ。誰が投票するんだ。次の大統領の顔として想像できるか」と小学生レベルの指摘をしたり、ヒラリー氏に対しては「夫を満足させられないのに、アメリカを満足させることができるのか」と夫ビル・クリントンのホワイトハウス不倫をほのめかしたりと、大統領候補らしからぬ低俗な視点で笑かしてくれた。

ヒラリー氏とのテレビ討論会で敗北した際にはツイッターで延々と愚痴ったり、投票開始後のインタビューで記者から「投票結果を受け入れるか」と聞かれ「まずは結果をみてみよう」と思わせぶりな発言をしたりといったところも、ダメ人間っぷりを醸し出していたよかった。

トランプ氏が唱える政策もめちゃくちゃで良かった。自由貿易や環境保護に反対するといった時代の流れに逆行するものがあったり、経済成長率を2倍にするといっておきながら保護主義を唱えていたりと、まさにジョークのような政策だった。

トランプ氏は政治を身近なものにはしてくれたが、今後が少し心配だ。

追記
・・トランプ氏が当選してから1週間程過ぎたが過激な発言がでてこない。いったいどうしたのだろうか。今回トランプ氏が大統領に選ばれて一番驚いているのはトランプ氏本人とも言われているが、それは本当でトランプ氏は大統領になる準備をしていなかったのかもしれない。

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