■どんな会社か
防災関連のインフラ工事やハイテク駐輪場などを手がけている会社。インプラント工法という特殊な工法で堤防を建設したり、道路や水路を整備したりするときに必要となる杭打ち機を販売。海外に6カ所の拠点があり、グローバル展開もはじめている。
東証二部上場で時価総額は450億円。
■成長ストーリー
日本では2011年の東日本大震災や先日の熊本地震、今後心配される南海トラフ地震などにより防災への意識は高まっている。すでにインフラ需要や復興需要は高水準に達しているようで、今後もその傾向は当面続くらしい。
インプラント工法は頑健性や消音性、工期短縮などさまざまなメリットがあり、国交省からは推奨技術に指定されている。しかし業界の慣習や適用範囲に制限があったためこれまであまり普及してこなかった。東日本大震災後の復旧工事でこの工法が採用されたあたりから潮目が変わりはじめた。復興の”最前線”で採用されたことにより、まわりの評価が変わり、普及が拡大しつつある。建築業界の慢性的な人手不足も、省人化が可能な新工法への移行に追い風となっている。産学連携による技術革新により適用範囲も広がり、それもまた強みとなっている。
日本だけでなく世界でも大規模な災害が頻発し、東南アジアを中心に防災への関心は高まっているという。技研は海外にも積極的に進出しはじめており、最終的には海外の売上高比率を70%程度まで高めるという目標を掲げている。ちなみに2016年の海外売上高比率は10%程であり、海外の売上高成長率は20%ほどである。
インプラント工法でつくるハイテク駐輪場も今後の成長が期待できる。本社は高知県にあるが東京の一等地である六本木などでも採用されており競争力の高さがうかがえる。
技研製作所は圧入工法(インプラント工法)のパイオニアであり、世界シェアはダントツトップである。そのため営業利益率は約20%と高い。欧米でも開発はすすんでいるらしいが、技研の技術はそれの10~20年先を進んでいるという。
2015年あたりから投資キャッシュフローや雇用数が急拡大しているため、今後も安定した業績の拡大が期待できる。自称「ビビり」の社長が大型投資に踏み切っているので勝算は高いとみる。
2016/12/19追記
・技研製作所はファブレスメーカーのため、圧入機を垣内という機械メーカーに委託製造しているが、その垣内が11月に新工場を建設。生産能力の大幅向上をはかるためという。(2016年12月の高知新聞)
・国際圧入学会のセミナーが7月に開かれ、そこで技研製作所が作業内容の報告をした。それによると「特徴的であったのは、工事主体が、国、地方公共団体であることで、同工法が民間から役所レベルに引上げられていることが印象付けられた」とのこと。
2015年10月には10億円規模(社員一人当たり230万円程度)の大型ストックオプションを実施しているが、その行使条件は2018年期の売上高が275億円以上、営業利益が58億円以上となっている。これは今後年率13%程度の成長をしていかないと不可能な数字である。
■問題点
・インプラント工法は特殊な工法で施行できる業者が限られているので、供給に限界がある。海外展開もこれが足かせになるかもしれない。
*技研は施行会社を支援する仕組みを設けておりネットワークはじわじわと広がっている。
・インプラント工法を行う圧入機は最低でも6500万円と高価なため経済性重視、小規模な工事には向かない。
・1本目の杭は普通の杭打ち機を使わないといけない。
・原発のまわりに建設しているような高さ22メートルの防潮堤にも対応できるのか不明。
・国内の需要が長期的にどのくらいあるのか不明。
・海外は日本と規制が異なり、また新工法の工程も複雑なため、スムーズに海外展開できるかわからない。
■チャート
・長期の三角持ち合いを形成している。直近では上下のフレが収斂されほぼ横横の状態となっている。これは力をため込んでいる状態らしく、近々上下どちらかに激しく動き出す可能性がある。
・株価は一目均衡表の雲の上に来ており、累積売買高でもピークより上に来ているので売り圧力は弱い。
週足 |
月足 |
月足の累積売買高。1900円あたりに売り圧力がある。 |
■まとめ
技研製作所は鈴茂器工のようなニッチトップ企業であり競争力や利益率が高い。
成長率は13%ほどで配当が2%あるのであわせて15%程度の利回りが期待できる。ストックオプションの行使条件はやや余裕をもって設定するのが常なので、あの数字よりも上振れする可能性もある。このような状況でPER14倍台はやや割安に見える。
チャート的にも底堅いのでぽつぽつ買い増していく。
追記 2017年4月9日 ヴェリタス4/9号
「杭打ちに付きものだった騒音や振動がなくなり、住宅密集地や夜間の工事も可能になった。都心部ではほぼ100%当社の杭打ち機が使われるようになった」
「技研の杭打ち機はコンパクトなだめどんな場所でも施行できる。工事にともなう通行止めや鉄道の運行停止なども回避でき、工事発注者の負担は大幅に軽くなる」
「地震の多い日本は世界に冠たる杭打ち大国。震災後に政府は防災予算を拡充しており、技研には強い追い風が吹いている」
国内の長期的な需要も期待できることがわかった。
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