2020年4月3日金曜日

長期計画チェック

「平時にじっくり考えて決めておいたことは、後悔する判断にはなりにくい」いわれているので、今のうちから長期的な計画を考えていく。

■景気後退について
今後はコロナショックで景気後退に陥りそう。新型コロナウイルスは終息するのに少なくとも1~2年はかかりそうなので(4/2日経)、しばらくは厳しい展開が続くかもしれない。ただこの期間に累積債務がある程度は整理されそうなので、コロナ後は健全な市場に戻り、また景気拡大期が始まりそう。

景気の落ち込みを和らげる要素もいくつかあるので、それらを一通り書いていく。
・イノベーションは経済成長の最も基本的な原動力になるが、今は世界中でイノベーション(デジタル革命)が起きている。
・バブルは借金をして資産を買いまくることにより生じるが、今回そのような現象はあまりみられない。
・社債市場は若干バブル気味だが、今のような低成長、低インフレ、過剰貯蓄の状況では低金利が続きやすく、高債務の状態が維持されやすい。
・信用力の低い企業の債務が膨張しているが、全体でみると健全な企業の貯蓄に相殺されている。
・先進国の金融機関の財務状態は比較的良好なため、先進国では金融危機が起こりにくい。
・中国の不動産市場にはバブルの兆しがあるが、中国政府の需要抑制策により日本のバブル期ほどの過熱感はない。ただし、シャドーバンキング商品(銀行理財商品、委託融資、信託商品)への投資は過熱感が強く、2017年末の残高は1000兆円とGDP比8割の規模まで膨らんでいる。
・中国の企業債務は積み上がっているが、その大半は国有企業のものなので計画に沿って徐々に削減していけそう。
・中国政府には財政出動や金融緩和の余地がある。
・中国は独裁体制のため、不況に陥るとすべての批判が指導部にふりかかる構造になっている。そのため指導部はなんとしても不況を起こさないようにする。
・トランプ大統領の再選には株価の維持、もしくは上昇が不可欠なので、トランプ政権は株価の上がりやすい政策を採る。
・先進国の中銀はインフレターゲットを2%に設定しているが、現在のようなインフレが起こりにくい環境でインフレ2%を達成・維持するには株高のような資産価格の維持・上昇が不可欠になる。そのため中銀は株式市場に優しい政策をとらざるを得ない。
・中銀が量的緩和をして国債などの資産を大量に買っているので資産価格は下がりにくい(金利は上がりにくい)。中銀が資産売却を進めれば資産価格は下がるが、今のところそれを進める気配はない。足下ではコロナショックで大規模な資産購入を始めている。

コロナ以外の景気後退シナリオもいくつかるので、それらも一通り書いていく。
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景気後退シナリオ?:災害や紛争が起こる
日本ではいずれ必ず南海トラフ地震が起こるといわれており、中東では紛争などの地政学リスクが高まりつつある。また足下では新型肺炎が流行している。こうした問題が起こると景気には強い下押し圧力がかかり、過去のパターンでは株価が15~35%下落している(参照)。しかしこのような状況になると必ず政府や中銀が大規模な支援策を講じるので景気(株価)は反発しやすくなる。また”一過性”の問題が過ぎ去さると需要はV字回復することが多い。一般に、災害や紛争は押し目買いのチャンスになると言われている。
*ただし、今回のコロナのように問題が世界に及び、それが長引きそうな場合は、そのまま景気後退に陥ることもある。
*日本で南海トラフ地震と首都圏直下型地震が同時に起きた場合は景気後退を通り越して財政破綻するとも言われている(10/11日経)。もしそうなった場合は1000兆円超の損失が発生するようなので強烈な株安・円安が発生する可能性が高い。
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景気後退シナリオ1:石油価格戦争により景気後退
足下では原油安が進んでおり、米石油企業が破綻する可能性が出てきた。石油企業が破綻すると、信用リスクが高まり、デフォルトが連鎖しやすくなる。米企業債務は過去最高水準まで高まっているので、信用収縮によりそのまま景気後退に陥るリスクがある。ただ米政府は原油価格が下がりすぎないよう産油国と話し合いを始めているので、近々折り合いそう。
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景気後退シナリオ2:中国の債務バブル崩壊により景気後退
中国の企業債務は積み上がっているが、その7割以上は実物投資ではなく、リスクの高い金融資産(シャドーバンキング商品)への投資に回っている。景気下振れなどによりいったんデフォルトが起こると、急激な資金の引き上げが発生して連鎖的なデフォルトが起こる可能性が高い。そのようにして景気後退に陥ると独裁政権に責任が集中し、政権が転覆する可能性も出てくる。独裁体制は経済的に成熟した社会には適さないシステムとも言われているので、その意味でもこのタイミングで独裁体制が終わる可能性がある。これらの政治的混乱も相まって不況が深刻化していく。経済大国・中国の不況が世界に連鎖していく。

当初、中国政府には財政拡大・金融緩和の余地があるので危機は避けられると思っていたが、米中貿易戦争でデフォルトモードに入っていたところでコロナショックが起きたのでクラッシュする可能性が出てきた。中国の企業債務は巨額なので、政府がコントロールしきれない可能性がある。
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景気後退シナリオ3:マイナス金利により金融機関が破綻し景気後退
先進国の金利はマイナス圏に突入しているので、利ザヤの縮小から金融機関が破綻していく可能性がある。金融機関が破綻すると信用収縮が起こり(金回りが悪くなり)、景気後退を招きやすくなる。しかし現時点では中銀が民間金融機関に配慮しながら金融政策を行っているので、比較的穏やかな統廃合で済みそう。足下ではコロナショックが起きているが、大手金融機関の財務状態は良好なので、金融機関が破綻するとしても小規模なもので済みそう。
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景気後退シナリオ4:各国中銀のインフレ政策が限界に達し景気後退
先進国中銀はこれまで金融緩和で市場を支えてきたが、その金融緩和が限界に達しつつある。今後、市場は支えを失い、大崩れする可能性がある。ただ、中銀の通貨発行能力は健在なので、財政ファイナンスで市場を支えていけそう。
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景気後退シナリオ5:米長期金利が上昇し景気後退
米国は財政が著しく悪化しているので、長期金利が上昇する可能性が出てきた。長期金利が上昇すると株式や不動産が売られ、借り入れが減り、景気後退に陥りやすくなる。ただ、今はFRBが国債を買い取ってくれるので、長期金利は低水準で安定しそう。
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景気後退シナリオ6:インフレが過熱し景気後退
景気循環の従来のパターンは金融緩和→失業率低下・債務拡大→景気拡大・インフレ過熱→金融引き締め→債務圧縮→景気後退になる。しかし今回は失業率が低下してもインフレが過熱せず、足下ではFRBがインフレを起こそうと再び金融緩和を始めている。
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景気後退シナリオ7:サンダース氏が米大統領に選出され景気後退
サンダース氏は反大企業的・反富裕層的で、年300兆円の増税案を提唱しているので、サンダース氏が米大統領に選ばれた場合は景気後退に陥る可能性がある。ただ民主党の大統領候補にサンダース氏が選ばれる可能性は現時点でほぼない。
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景気後退シナリオ8:上記の景気後退シナリオ複数が同時に起こる
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■今後の計画
コロナショックと中国バブル崩壊で深刻な景気後退に陥る可能性が出てきたので、投資は控え目にしていく。

今後、円が90円くらいまで上昇、もしくは日経平均が13000円くらいまで下落したら、米欧通貨や外国株、日本株を買っていく。おそらく今回が最後の円高局面になると思うので、海外資産の比率を高めにしていく。

次の円高時に仕込みたい外国株
・UBS ETF スイス株 (MSCIスイス20/35) 。スイス株式で構成されたETF。”最強通貨”のスイスフラン建てなので円安・ドル安対策によさそう。組み込まれている銘柄はネスレやロシュなどの優良グローバル企業なので安定成長も期待できる。
・(米)アルファベット、アマゾン、マイクロソフト。規制リスクはあるが、グローバルITインフラ企業としての地位は揺るぎそうにない。投資が旺盛なのでまだまだ成長しそう。
・(米)VISAや(米)マスターカード。両社はフィンテック企業のボス的存在で、電子マネーは結局ここらへんが中核になりそう。
・(米)フェイスブック、ツイッター。SNSで盤石な地位を確立しており、年率10%超の成長が期待できる。
・(米)セールスフォース、ドキュサイン。日本企業を調べていて見つけた優良成長企業。社風が良さそうなのがいい。
・(米)P&Gはなし。優良企業なのは間違いないが、成長力に物足りなさを感じた。
・(米)ボーイングもなし。次期主力機の737MAXが失敗作のようだから。1/11のJIJI.COMに2017~2018年頃のボーイングの社内メールで737MAXについて「道化が設計」「家族は乗せない」とあり、2/26の日経3/11の日経には「(737MAXの)燃料タンクから布きれや金属片などの大量の異物が見つかり」「落雷によってエンジンが停止する恐れがある」とあったので、本当に「道化」が設計していたのかもしれない。またメールから企業風土に問題があることもわかった。この会社は一度破綻して企業風土を一新したところが買い場になるかもしれない。
・NASDAQ100ETF。第4次産業革命の中核ETF。国内市場で簡単に買えるのが利点。
・アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信(為替ヘッジなし)。腕利き米国人が運用する趣味の良さそうなファンド。
・米国株式長期厳選ファンド。奥野一成氏が運用するビジネスモデルが堅固な企業に投資する永久保有系ファンド。積み立てオンリーなのがやや難。
・インド株のETF。インドは2040年まで人口ボーナス期が続く。
・インドネシア株のETF。インドネシアは2030年まで人口ボーナス期が続く。
・銅。銅をたくさん使う電気自動車などにより銅の需要は長期的に右肩上がりだが、優良鉱山の減少や環境規制などにより供給が追いつかなくなる可能性がある。現在の銅の採算ラインは1トン5500ドル程度。

■次の上げ相場について
次の景気拡大期は中銀に金融緩和をする力があまり残されてなさそうなので今回のような資産インフレ相場は期待できそうにない。今後の市場環境はゼロ成長、ゼロ金利が基本になりそうだが、そのような環境で投資収益を上げていくには企業の成長性に賭けていくしかないように思う。どのようなときでも時代の変化に合わせて成長していく会社はあるので、そういうところを見つけて投資していきたい。
*ゼロ金利が続くという前提では、企業の将来キャッシュフローを現在価値に割り引く際に割引率が低下し、また資本コストも低下するので、成長株(高ROIC株)に優位性が出やすくなる。12/4日経3/6日経
*今後はデジタル・ロボット革命により人の労働(賃金)が減り、資本側に富がより蓄積されていきそうなので、資本(株式など)の保有は不可欠になりそう。2/19日経

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