保有比率の高い順に見ていく。
■弁護士ドットコム
基本シナリオ:法律分野をITで変革し最強のプラットフォーマーに
第3四半期決算は法律相談の有料会員数が初の減少。これは検索由来のアクセス数減少によるものだという。アクセス数の減少は11月初旬頃からとのことなので、これは10月25日にグーグルの検索エンジンに導入されたAIアルゴリズム「BERT」の影響かもしれない。このアルゴリズムは人の読解力(平均値)を超える驚異的なものらしく、質問(検索ワード)に対してより的確な「答え」を提示できるようになるという(1/1日経)。このアルゴリズム投入によってアクセス数が減少したというのはあまりよい兆候ではないが、社長は「アクセス数は12月末ぐらいに底を打ち、現在回復基調にある」といっているので、アクセス数の減少は新アルゴリズム導入初期の混乱によるものかもしれない。
ただアクセス数が回復しても今後有料会員数は伸び悩んでいく可能性が高い。昨年11月に弁護士ドットコムはLINEなどと提携して「LINE弁護士相談」というサービスを始めており、また政府はネット上でAIを使い離婚やネット売買でのトラブルなどの解決策を示す仕組みづくりをはじている(1/30日経)。さらにはネットで無料の法律相談を受け付けるサイトも登場しはじめているので、今後ネットでの法律相談はこういったところにも分散していくのではないかと思う。有料会員事業の売上高比率は15%程度(成長率13%程度)なので、業績へのインパクトはそれほど大きくはなさそうだが、アクセス数の増減は弁護士広告(紹介)事業にも影響してくるので今後注意深く見ていこうと思う。
それ以外の事業はいつもながらの順調な伸び。中でもクラウドサインの契約送信数は顕著に伸びており、これは導入企業数の増加も影響しているとは思うが、CMによる認知効果も大きかったのではないかと思う。これほどの効果を期待できるならCMをもっと流せばいいのにとも思うが、2週間のプロモーションで2億円かかったようで、第4四半期にはこういったプロモーションはかけないという。一株主としてはこういった勝算の高そうな投資なら赤字や増資などはそれほど気にならないのだが、決算後のストップ安を見ると、そうは考えない株主も多いのかもしれない。
決算以上に気になったのが、決算翌日に出た日経記事になる。そこには電子契約の市場規模予測が載っており、矢野経済研究所は「18年に228億円だった国内市場規模は23年に353億円に急拡大する」と予測していた。またネットで市場規模について検索してみると19年6月にITRという調査会社が「2019年が55億で2022年には117億まで拡大」と予測している。これは当初の想定とはだいぶ異なる。ただ矢野経済研究所の市場成長率予測は年率10%程度、ITRは28%程度なのに対し、クラウドサインの売上高成長率はこれまで年率100%を超えているので、これらの予測値は参考程度にしかならなさそうでもある。ただそれでも業績予想はもう少し控え目にした方がよいのかなと思った。
それと米ドキュサインについて書かれていた箇所も少し気になった。日本で主に契約がなされる場は国内契約(不動産契約や雇用契約など)なので、国内で独走しているクラウドサインの地位が簡単に揺らぐとは思わないが、すでにドキュサインを導入している国内のグローバル企業もある。ユーザー目線で考えると、コストや使い勝手の面で一つのサービスに絞るのがベストになるが、法律が絡んだややこしい電子契約の場合はローカライズ(現地最適化)が進んだものを使うしかなさそうなので、これは2つのサービスを使っていくしかないのかなと思った。
今日の日経に「はんこ文化、在宅勤務阻む」とあった。会社の印鑑は家に持ち帰れないため、契約書を在宅勤務で作っても押印のために出社しなければならないという。電子契約を導入すればその手間が省けるので、この会社は「対コロナ銘柄」になるのかなと思った。IR資料を見ると第4四半期の契約送信件数も順調に伸びている様子。
今後3年の予想売上高成長率は年率35%程度。この会社の現在価値は、ビジネスモデルの強度や将来の予想利益などを考慮すると1000億円(株価4500円、PSR(株価売上高倍率)20倍)くらいか。ただ地合いや新型コロナによる経済停滞を考慮すると株価は3400円(時価総額750億円)くらいまで落ちる可能性もある。2030年の予想売上高は、売上高成長率が年率25%の場合は400億円、年率35%の場合は860億円。2030年の予想時価総額は4000~8000億円。
■ペプチドリーム
基本シナリオ:ペプチド創薬で最強のプラットフォーマーに
本決算説明資料を読んだが、BMSの免疫チェックポイント阻害剤がお蔵入りしそうなのが残念だった。ただそれでも今期は2~6つが臨床入りし、売上高は100億円を突破する予定とのことなので、全体で見ればそれほど問題はないのかなと思った。
今後3年の売上高成長率は年率20%程度。この会社の現在価値は5000億円(株価4000円、PER100倍)くらいか。2030年の予想利益は、売上高成長率が年率20%なら300億円、年率30%なら700億円。2030年の予想時価総額は2兆~5兆円。
■厳選ジャパン(投資信託)
基本シナリオ:ビッグチェンジ銘柄投資でテンバガー達成
基準価額は一時8000円割れ。この投信は中小型株の比率が高いが、今後は中小型株に買いが入りにくそうなので厳しい展開になりそう。資産運用は1人でなんとかなりそうなので、反発したところで売却してこうと思う。ただこの投信のポートフォリオの観察は続ける。
■シンクロ・フード
基本シナリオ:市場独占型プラットフォーマーではないので利益成長は厳しそう
「本決算まで横ばい、本決算でいったん上昇」というシナリオを描いていたが、それも崩れてしまった。コロナが落ち着けば株価は反発すると思うが、ビジネスモデルに問題があるので、反発は弱くなりそう。
去年2月のブログに「グーグルで「飲食 求人 東京」「飲食 求人 大阪」で検索すると(シンクロフードが)トップに表示され続けている」とあるが、現在同じように検索してみると東京では3番手、大阪では2番手に表示される。またプレイスオーダーズ(小型飲食店向けの食材発注システム)は今後伸びそうだと思っていたが、インフォマートが参入してきたので、こちらも厳しくなってきた。コロナも長引きそうなので、今後も淡々と売っていこうと思う。
今後3年の予想売上高成長率は年率-10~10%。営業利益成長率は年率-10~0%。この会社の現在価値は、ビジネスモデルの強度や将来の予想利益を考慮すると75億円(株価280円)くらいか。コロナの影響を考慮すると時価総額40億円(株価150円)くらいか。
業績に最もインパクトのある求人広告掲載数を記録していく。
<2月>
関東 2601(2484) 関西 798(733) 東海 498(345) 九州 102(108) 北海道・東北 72(108) 総計 4071(3778)
市場独占型の求人プラットフォーマー・インディードの掲載数も記録していく。東京都の飲食店 110650(79166) 大阪府の飲食店 47378(30353)
*( )内は前年同月
<3月>
関東 2543(2558) 関西 806(813) 東海 500(339) 九州 109(118) 北海道・東北 87(126) 総計 4045(3954)
市場独占型の求人プラットフォーマー・インディードの掲載数も記録していく。東京都の飲食店 110625(90647) 大阪府の飲食店 47353(36102)
*( )内は前年同月
<4月>
関東 1917(2611) 関西 684(762) 東海 493(336) 九州 109(111) 北海道・東北 82(130) 総計 3285(3950)
市場独占型の求人プラットフォーマー・インディードの掲載数も記録していく。東京都の飲食店 96335(81312) 大阪府の飲食店 41274(32805)
*( )内は前年同月
■eBase
基本シナリオ:最強の商品情報管理プラットフォームに
買った直後に株価が上昇して幸先のよいスタートを切れた。いちよし証券が「食品業界における成功モデルを他業界に広げ、商品情報における各業界のデファクトスタンダードを狙う成長性を評価」とコメントしてから上がったので、ここらへんのことはまだ株価に織り込まれてなかったのかもしれない。
eBASEのコアな事業(商品情報管理プラットフォーム)の売上高は20億円くらいで、現在の時価総額は315億円(株価670円)なので、今くらいの時価総額が上限なのかもしれない。今後3年の予想売上高成長率は年率10%。2020年の予想時価総額は320億円(株価700円、PSR15倍)。2030年の予想利益は現在の3倍くらいか。
■チームスピリット
基本シナリオ:TeamSpiritで業務効率化、働き方の分析で生産性改善
第1四半期決算は好決算だった。契約ライセンス数が前年同期比50%伸びていたのもよかったが、それ以上に2018年に続き、2019年もマザーズの新規上場企業の2割でTeamSpiritが採用されていたのがよかった(マザーズ企業の15%(322社)がTeamSpritを採用)。これまでクラウドソフト「TeamSpirit」にはやや悲観的な見方をしてきたが、トップクラスの新興企業にこれだけ採用されているということは、かなり競争力のあるソフトではないかと思った。
ただ内部統制の問題は依然として未解決のまま。社長は事業に精通していて、長期的なビジョンもあり、決して“イヤな”タイプにも見えないのだが、従業員の口コミを見ると、社内が若干混乱しているように見える。ただ事業は軌道に乗っているようなのであとは時間が解決してくれるのかなと思う。
前回ブログで「(米国の)20年のソフトウエア投資の伸びが3年ぶりの低水準になるリスクがある。(中略)セールスフォースも成長が鈍化する可能性がある」と日経記事を引用したが、1月15日の日経?に「日本は依然としてクラウドの普及率は低い。米調査会社IDCによると、会計業務でのクラウドの浸透率は日本では14%と、米国(53%)や英国(35%)を下回る」とあったので、日本のクラウドサービスはまだまだ成長が続きそうだと思った。
*訂正。以前書いたチームスリピリットの調査レポートに「「働き方改革」法案は2019年4月に施行」と書いたが「2020年4月に施行」の誤り。それと「独SAPは2025年までに現行のERPのサポートを終了する」と書いたが、独SAPは2月に「サポートを2027年まで延長する」と方針転換している。
今後3年の予想売上高成長率は年率30%程度。2020年の予想時価総額は260億円(株価 1600円、PSR10倍)。
■今後の計画
当初は「5月頃に新型コロナが落ち着いて株式市場が底打ちし、財政拡大と金融緩和により金融相場が加速する」というシナリオを描いていたが、状況がかなり変わってきた。今後は「コロナショック」により、このまま景気後退期に突入しそう。これを機にポートフォリオを再構築していこうと思う。
弁護士ドットコム、ペプチドリーム、eBASE、チームスピリットは長期で保有する。シンクロフードと厳選ジャパンは売却していく。
エムスリーが2200円になったら少し買う。
米景気後退が本格化してきたら、米ドル売りを積み増す。
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