2016年12月16日金曜日

中小型株5 技研製作所 ○

中小型株ファンドの月報で見つけた銘柄

■どんな会社か
防災関連のインフラ工事やハイテク駐輪場などを手がけている会社。インプラント工法という特殊な工法で堤防を建設したり、道路や水路を整備したりするときに必要となる杭打ち機を販売。海外に6カ所の拠点があり、グローバル展開もはじめている。
東証二部上場で時価総額は450億円。

■成長ストーリー
日本では2011年の東日本大震災や先日の熊本地震、今後心配される南海トラフ地震などにより防災への意識は高まっている。すでにインフラ需要や復興需要は高水準に達しているようで、今後もその傾向は当面続くらしい。

インプラント工法は頑健性や消音性、工期短縮などさまざまなメリットがあり、国交省からは推奨技術に指定されている。しかし業界の慣習や適用範囲に制限があったためこれまであまり普及してこなかった。東日本大震災後の復旧工事でこの工法が採用されたあたりから潮目が変わりはじめた。復興の”最前線”で採用されたことにより、まわりの評価が変わり、普及が拡大しつつある。建築業界の慢性的な人手不足も、省人化が可能な新工法への移行に追い風となっている。産学連携による技術革新により適用範囲も広がり、それもまた強みとなっている。

日本だけでなく世界でも大規模な災害が頻発し、東南アジアを中心に防災への関心は高まっているという。技研は海外にも積極的に進出しはじめており、最終的には海外の売上高比率を70%程度まで高めるという目標を掲げている。ちなみに2016年の海外売上高比率は10%程であり、海外の売上高成長率は20%ほどである。

インプラント工法でつくるハイテク駐輪場も今後の成長が期待できる。本社は高知県にあるが東京の一等地である六本木などでも採用されており競争力の高さがうかがえる。

技研製作所は圧入工法(インプラント工法)のパイオニアであり、世界シェアはダントツトップである。そのため営業利益率は約20%と高い。欧米でも開発はすすんでいるらしいが、技研の技術はそれの10~20年先を進んでいるという。

2015年あたりから投資キャッシュフローや雇用数が急拡大しているため、今後も安定した業績の拡大が期待できる。自称「ビビり」の社長が大型投資に踏み切っているので勝算は高いとみる。

2016/12/19追記
・技研製作所はファブレスメーカーのため、圧入機を垣内という機械メーカーに委託製造しているが、その垣内が11月に新工場を建設。生産能力の大幅向上をはかるためという。(2016年12月の高知新聞)
・国際圧入学会のセミナーが7月に開かれ、そこで技研製作所が作業内容の報告をした。それによると「特徴的であったのは、工事主体が、国、地方公共団体であることで、同工法が民間から役所レベルに引上げられていることが印象付けられた」とのこと。
 
2015年10月には10億円規模(社員一人当たり230万円程度)の大型ストックオプションを実施しているが、その行使条件は2018年期の売上高が275億円以上、営業利益が58億円以上となっている。これは今後年率13%程度の成長をしていかないと不可能な数字である。

■問題点
・インプラント工法は特殊な工法で施行できる業者が限られているので、供給に限界がある。海外展開もこれが足かせになるかもしれない。
*技研は施行会社を支援する仕組みを設けておりネットワークはじわじわと広がっている。
・インプラント工法を行う圧入機は最低でも6500万円と高価なため経済性重視、小規模な工事には向かない。
・1本目の杭は普通の杭打ち機を使わないといけない。
・原発のまわりに建設しているような高さ22メートルの防潮堤にも対応できるのか不明。
・国内の需要が長期的にどのくらいあるのか不明。
・海外は日本と規制が異なり、また新工法の工程も複雑なため、スムーズに海外展開できるかわからない。

■チャート
・長期の三角持ち合いを形成している。直近では上下のフレが収斂されほぼ横横の状態となっている。これは力をため込んでいる状態らしく、近々上下どちらかに激しく動き出す可能性がある。


・株価は一目均衡表の雲の上に来ており、累積売買高でもピークより上に来ているので売り圧力は弱い。
週足

月足


月足の累積売買高。1900円あたりに売り圧力がある。













■まとめ
技研製作所は鈴茂器工のようなニッチトップ企業であり競争力や利益率が高い。
成長率は13%ほどで配当が2%あるのであわせて15%程度の利回りが期待できる。ストックオプションの行使条件はやや余裕をもって設定するのが常なので、あの数字よりも上振れする可能性もある。このような状況でPER14倍台はやや割安に見える。
チャート的にも底堅いのでぽつぽつ買い増していく。

追記 2017年4月9日 ヴェリタス4/9号
「杭打ちに付きものだった騒音や振動がなくなり、住宅密集地や夜間の工事も可能になった。都心部ではほぼ100%当社の杭打ち機が使われるようになった」
「技研の杭打ち機はコンパクトなだめどんな場所でも施行できる。工事にともなう通行止めや鉄道の運行停止なども回避でき、工事発注者の負担は大幅に軽くなる」
「地震の多い日本は世界に冠たる杭打ち大国。震災後に政府は防災予算を拡充しており、技研には強い追い風が吹いている」
国内の長期的な需要も期待できることがわかった。

中小型株4 くら寿司 △

中小型株ファンドの月報で見つけた銘柄

■どんな会社か
回転寿司「無添くら寿司」を営業している会社。日本だけでなく、米国や台湾にも展開しており総店舗数は390店、国内では2位。添加物を使わず、鮮度良好で、安価な寿司が売り。シャリカレーなどのサイドメニューも充実しており好評。ITを駆使した店舗設計により生産性や顧客満足度は高い。顧客満足度調査ではランキング1位。

■成長ストーリー
毎年国内に20店程度の新規出店をしている。アメリカの出店ペースは今後加速させていく模様で、今期は5店予定。日本は飽和状態にあるので、今後はアメリカなど海外が牽引役になっていくのかもしれない。

■問題点
・国内はほぼ飽和状態で競争が激化している。それに加えて人件費が高騰しており利益率は低下傾向。
・魚などの食材には輸入品が多く、円安により仕入れ値が上がりつつある。
・今期の売上高成長率と営業利益率は5%程度とそれほど高くはない。PERは22倍と業界平均と同じで、割安とはいえない。
・今後は海外展開にも力を入れていくわけだが出店ペースは遅い。アメリカには09年に進出しているが現在はまだ11店舗。

■チャート
緩やかな上昇トレンドだが、直近ではその上昇速度が落ちている。成長性から判断すると横ばいになる可能性が高い。売り圧力は少ない。

■結論
下げにくい株で、今後も穏やかな成長が期待できるが、投資妙味は少なそう。

レオス 「2017年はかなり強気」

ひふみ投信を運用しているレオスキャピタルワークスが毎月開催している「ひふみアカデミー(12月)」を見たらボスの藤野氏は2017年はすごく強気のマーケットになるのではないかと言っていた。その要因はトランプバブルだけではなく、グローバルや資源価格の回復、そしてなにより日本は足元ですごく景気回復しているからとのこと。

買われる銘柄が今までとは変わってくるだろうともいっていた。グロース系からバリュー系に、ITなどのさわやか系から重厚長大のおっさん系に移っていくだろうといっていた。おっさん銘柄のなかでも経営が今時の、”きれいなおっさん銘柄”が特にいいらしい。

そんなひふみ投信の所有株(上位10銘柄)をざっと調べてみた。チェックするポイントは売上高成長率と割安度とチャートの3点。

・あいホールディングス。売上高成長率10%でPER21倍(業界平均は9倍)のため、やや割高感がある。チャートはピークアウトしており売り圧力は強い。→×

・メガチップス。売上高成長率6%でPERはマイナス。チャートは急騰し過熱気味。→×

・荏原製作所。売上高成長率もEPS成長率も横ばい。PERは13倍で業界平均とほぼ同じ。チャートは中期的には上昇、長期では横ばい。売り圧力は弱い。→△

・TDK。売上高成長率は横ばいだがEPSは急上昇している(来年は急下降)。PERは9倍。チャートは上昇トレンド。→△

・三菱重工。売上高成長率は横ばいだが、EPS成長率は30%。PERは18倍(業界平均は13倍)。チャートは上昇トレンドだが、600-700円の間に売り圧力がある。今は550円。→△

・アウトソーシング。売上高成長率は50%程度と高くPERは26倍と割高ではないが、チャートはすでにピークアウトしており売り圧力は強め。→×

・日本電産。成長率は10%程度。PERは30倍と割高に見える。チャートは上昇トレンド。→△

・船井総研。成長率は8%程度。PERは24倍と割高に見える。チャートは上昇トレンド。→△

・東京センチュリー。売上は横ばいだがEPSは8%程度の成長。PERは9倍。チャートは横ばい。→△

成長力が高く、割安で、売り圧力の少ない銘柄はなさそうだ。少しだけ興味が湧いたのはTDKと三菱重工。しかし会社がでかすぎるため調べる気が起こらない。

ひふみ投信は資産規模が大きくなったためか、上位10銘柄から小型株が消えてしまった。

2016年12月8日木曜日

売り圧力3 オーバーヘッドサプライ

株を高値で買って株価が下がると、高値で買った人は含み損を抱えて苦しむ。時間が経過し含み損が膨らむほど、多くの人は損益ゼロになるだけで大喜びする。このような高値買いをした人が大勢いる状況をオーバーヘッドサプライと呼び、これが強力な売り圧力になる。

株価が高値から40%以上下げている場合や、下向きの200日移動平均線を株価が下回っているような場合は、オーバーヘッドサプライが山盛りになっているので、株価は非常に上がりにくくなる。

オーバーヘッドサプライは前項で取り上げた一目均衡表の雲や累積売買高を見ても、どの程度あるのかがわかる。

参考:「ミネルヴィニの成長株投資法」

売り圧力2 累積売買高

累積売買高とは売買がどの価格帯で活発だったかを示す指標。累積売買高が多い価格帯では戻り待ちの売りが多く、そこを超えると売りは少なくなり、株価は上昇しやすくなる。

過去一年間の日経平均の累積売買高を見ると16800円がピークで、その価格帯より上は商いが薄くなっている。現在株価は16800円を超えてるので、株価の戻りを待つ投資家の売りが少なくなっており株価が上昇しやすくなっている。
(参考:日経新聞12/2)


前回、一目均衡表で調べた売り圧力の弱い銘柄を累積売買高の観点からチェックしてみる。

■フェローテック
一目均衡表(月足)の抵抗帯と、累積売買高(月足)のピークはほぼ一致。


しかし週足の場合では、株価は一目均衡表の上にきているが、累積売買高ではピークの下にきている。そのため底堅くはあるが、上値がやや重いことがわかる。


■そーせい
過去2年の一目均衡表(週足)
過去2年の累積売買高(週足)


過去1年の累積売買高(日足)
株価が一目均衡表の雲と累積売買高のピークを下回っている。上値は重く、株価を下支えするものがないので、一気に下落する可能性がある。

2016年12月2日金曜日

トランプトレード

トランプバブルで買った銘柄の購入動機などを書いていく。

■SBIホールディングス
<プラス要素>
・トランプバブルで証券市場や為替市場が活況になると予想。
・一目均衡表で判断すると、短期、中期、長期ともに売り圧力が弱い。

<マイナス要素>
・やや過熱気味
・バブル相場なので長期的な成長は期待できない
・トランプさんが実際にどこまで政策を実行できるかが不透明。政策が市場の期待を下回ったら失望売りが出る。

目標株価2000円、損切り株価1150円。2月までには売る。

■三井物産
<プラス要因>
・グローバルでインフラ投資が活発になり、資源価格が上昇していきそう。
・三井物産は売上に占める資源比率が高いため、資源価格上昇の恩恵を受けやすい。
・資源はドル建てのため円安の恩恵も受ける
・売り圧力が弱い

<マイナス要因>
・やや過熱気味
・トランプさんの政策が市場の期待を下回ったら失望売りが出る。

目標株価2000円。損切り株価1200円。2017年末までには売る。

■スタートトゥデイ
<プラス要因>
・アパレル界のamazon。長期的な成長が期待できる。
・チャートはなだらかな上昇トレンド

<マイナス要因>
・アパレルの通販は難しい。通販の中では返品率が最も高いという。ゾゾタウンで服を買ったことがあるが失敗が多い。
・来年、再来年を含めた予想売上高成長率は20%程度だが、PERは35倍とやや割高。
・モルガンレポートの目標株価は1800円。
・1800円に累積売買高のピークが来ている。(戻り売り圧力が強い)

目標株価2200円。損切り株価1500円。2017年末までには売る。

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これら以外に、「売り圧力の少ない成長株」で調べたフェローテック、くらコーポレーション、技研製作所を実験的に購入。
よく調べないで買ったのでやや不安。調査して考えをまとめから購入しないといけないと反省。今後もう少し調べていく。

売り圧力の少ない成長株

「日本超小型株ファンド」の月報で見つけた銘柄に投資してそれが順調なので、他のファンドの月報も調べてみる。

リストアップした銘柄は、株価が過熱しておらず、売り圧力が少なく、成長性のある銘柄。

調べた項目は、上場場所、時価総額、事業内容、成長性、割安度、問題点、チャート。

・フェローテック。ジャスダック。390億円。太陽電池や半導体関連の部品を製造。円安恩恵銘柄。売上高成長率は10%程度でPERは13倍(業界平均PERは17倍)。問題点は半導体関連はすでにピークアウトしつつあるということと割安でもないということ。チャートはほぼ横ばい。長期では上昇トレンド。

・くらコーポレーション。東証1部。1015億円。回転寿司店を経営。成長率は7%程度。PERは22倍(業界平均も22倍)。問題は円安傾向。仕入れ価格が上昇し利益率が落ちる。チャートは直近やや調整気味。長期では上昇トレンド。

・富士通フロンテック。東証2部。350億円。ATMやPOSなど金融・流通端末の製造。売上高成長率は横ばいでPERは10倍(業界平均PERは14倍)。ただし利益成長率は10%程度ある。ほぼ適正株価。チャートはやや過熱。分厚い雲抜け。

・エン・ジャパン。ジャスダック。950億円。求人情報サイト大手。成長率は10%でPERは21倍(業界平均は12倍)。問題点は完全雇用状態なので業績は頭打ちになるかもしれいこと。チャートは横ばい。長期では上昇トレンド。

・技研製作所。東証2部。460億円。防災、耐震関連の特殊工事を行う。インプラント工法などの技術に独自性があり需要は堅調。成長率は10%超でPERは14.5倍(業界平均PERも14倍)。問題点は前期の第三四半期に失望売りが出てその後の株価が硬直していること。株価は横ばい。長期では上昇トレンド。

・日進工具。ジャスダック。155億円。精密金型や部品加工向け超硬小径エンドミルを製造。成長率は5%程度でPERは11.5倍(業界平均19倍)。やや割高。チャートは上昇トレンドでやや過熱。

・プレステージ・インターナショナル。東証1部。515億円。コールセンターなどのアウトソーシング事業。成長率10%程度でPER17.5倍(業界平均22倍)。やや割高。チャートは穏やかな上昇トレンド。

・前田工繊。東証1部。400億円。河川、道路補強等の防災用建築・土木資材の大手。成長率は10%程度でPERは13倍(業界平均は24倍)。やや割高。チャートは短期ではやや過熱。長期では横ばい

・寿スピリッツ。東証1部。800億円。菓子製造大手。成長率は15%程度でPERは33倍(業界平均は18倍)。やや割高。チャートは直近やや調整だが、中長期で上昇トレンド。

・シークス。東証1部。985億円。部材のグローバル調達、物流や受託製造(EMS)などのアウトソーシング事業。成長率はほぼ横ばいでPERは14倍(業界平均は9倍)。やや割高。チャートはなだらかな上昇トレンド。

う~ん、割安な掘り出し物はなさそう。とりあえず売り圧力の弱さを重視して実験買いをしていく。

小型株3 日東精工 △

「日本超小型株ファンド」の月報で見つけた銘柄。

■どんな会社か
極小ネジや地盤調査機などを製造している会社。社長によると極小ネジとそれを締めるネジ締め機、住宅用地盤調査機は世界一の技術を誇るという。

■成長ストーリー
今業績を牽引しているのはネジ締めロボットになる。海外の自動車工場などでよく売れているという。このロボットの売上高成長率は30%ほどで利益率も高い。しかしこの事業の全体に占める売上高比率は25%程度なので業績を力強く押し上げるほどの力はなさそう。

世界一を誇る3つの技術(極小ネジ、ネジ締め機、地盤調査機)の売上高比率は全体の75%程になる。しかしこれらの成長率は横ばいとなっている。

以上を踏まえると今後の急成長は期待しにくい。ただネジは“産業の塩”とよばれるほどの必需品であり、この会社は極小ネジなど付加価値の高いネジを製造することができるので、長期的な見通しはそれほど悪くない。

■2018年に売上高400億円は可能か
会社は2015年に中期計画書を作成し、そこで2018年度の売上高目標を400億円としている。
しかし2015年度の売上高は237億円、2016年度(予想値)は253億円である。このペースで行くと2017年度には280億程度になり、そこに10月に買収した協栄製作所の売上高35億円を足すと315億円になる。となると順調にいっても2018年度には350億円くらいまでしかいかないのかもしれない。

■チャートはどうか
8月あたりに280円程度だった株価が直近では400円を超えているのでやや過熱気味。成長率10%ほどでPERは10倍なので適正株価ともいえる。ただ売り圧力は少なく、株価はここ5年の最高値を突破して青天井モードに入りつつある。直近で会社は自社株買いを発表しているので会社からみればまだ割安ということかもしれない。来期の売上高成長率(予測)は20%程度と高いのでPER17倍、株価680円程度までいくかもしれない。

■リスク
ネジが主な収入源のため、世界経済が調整したらその影響をダイレクトに受けてしまう。

■投資するタイミング
400円以下になったら少し買ってみる。